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天皇賞

メイショウサムソン史上4頭目春秋連覇
盾男!豊10勝目3000勝王手

2007/10/28 東京競馬場

▼第136回天皇賞(秋)
1着 メイショウサムソン 武 豊 1.58.4
2着 アグネスアーク 吉田準 2 1/2
3着 カンパニー 福永

圧倒した。国内外合わせてGI馬7頭が集結した一戦は、直線で早めに抜け出したメイショウサムソンが完勝。同一年では史上4頭目となる天皇賞春秋連覇を達成した。初コンビで見事にVへエスコートした武豊は、史上最多タイとなる春秋合わせて10度目の盾制覇で、JRA通算3000勝に王手をかけた。サムソンは今後、ジャパンC(11月25日・東京)、有馬記念(12月23日・中山)と王道を歩む。来年は凱旋門賞挑戦へ向けて、長期の海外遠征プランも浮上した。

mメイショウサムソン

し烈な2着争いを尻目にメイショウサムソン(左)が楽々と抜け出した

初コンビで最強証明!凱旋門賞断念のうっぷん晴らした!!

【来年海外挑戦へ】

文句なしの完勝だった。メイショウサムソンは直線でGOサインを受けると、早々と先頭へ。馬場状態のいい部分を通って、後続を突き放す。最後は2着アグネスアークに2馬身半差。ライバルたちが不利を受けてはいたが、仮にスムーズでも、勝利は揺るぎなかったと思わせる内容だった。

武豊

メイショウサムソンで秋の天皇賞を制しファンの声援に応える武豊

武豊の騎乗も完ぺきだった。2角に入るまで少し行きたがる様子を見せたが、慌てなかった。5番手の理想的な位置取り。ロスなく立ち回り、仕掛けのタイミングを計るだけだった。

保田隆芳氏と並んで、最多タイとなる春秋の天皇賞V10も達成。「(1)番枠なので、逆に迷うことはなかった。本当にうまくいった。状態は最高に良かったし、強い馬がいいレースができたので、こういう結果につながった」。“盾男”は満足そうに振り返った。

重圧はあった。3週連続で調教に騎乗していたとはいえ、実戦は初めて。前任者の石橋守からアドバイスも受けた。「ホッとしています。GIを3つ獲っている馬。プレッシャーというか、大役だなと強く感じていた。石橋さんからも本当に全部教えてもらって、すごく心強かった」。兄弟子の後押しに感謝しながら安どの表情を浮かべた。この日は2勝を挙げて、JRA通算3000勝の大台にあと1勝と迫った。「来週しないと駄目ですね」。大舞台での達成はならなかったが、もはや時間の問題だ。

秋初戦を最高の形で飾った。高橋成師は「ちょっと余裕を持って仕上げたので半分心配だったが、勝ってくれて、今後につながった」と表情を崩した。大きく弾みをつけて、ジャパンC―有馬記念へと進む。

その先には、馬インフルエンザの影響で今年断念した凱旋門賞への挑戦が見えている。トレーナーは、長期の海外遠征プランを明かした。「個人的な感覚だけど、半年以上、向こうの競馬で過ごせたら」。99年凱旋門賞2着のエルコンドルパサーは、現地で3戦を消化して本番に臨んだ。

一度は挫折した夢を現実のものにするためにも、今季の残り2戦でも最高の結果を出したい。「気を緩めずにやっていきたい」と表情を引き締めた。新たなサムソン伝説がいま、幕を開けた。


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ファンの声援に応える高橋成調教師、松本オーナー、武豊(左から)=東京競馬場

【松本オーナー感無量】

春秋盾連覇に、松本好雄オーナーも感無量だ。「天皇賞で1番人気なんて、ボクの人生ではもうないと思っていた。ただ、楽しみたいとだけ思っていました」と喜びをかみしめる。馬インフルエンザの影響で、凱旋門賞を断念。「どうしても行きたかったが、完ペキにつくって、なおかつどうかだからね。天皇賞に気持ちを切り替え、陣営もプレッシャーの中で完ペキに仕上げてくれた」と労をねぎらう。海外遠征については「あくまで馬の状態と相談ですが、挑戦したいと思ってます」と前向きだった。


【瀬戸口元調教師「強かった完ぺき」】

以前にサムソンを管理していた瀬戸口勉元調教師も喜びを隠せない。「強かったね。レースは完ぺきだった。馬はよくできていたね。ぶっつけで行ったのも、良かったんじゃないかな」。定年のため今年2月末で手を離れたとはいえ、その活躍に目を細めた。見守った生産者の林孝輝氏も感激の面持ち。「なかなかウチのような中小牧場で勝てるようなものじゃない」。牧場には現在、サムソンの1歳になる弟(父シンボリクリスエス)がおり、偉大な兄に続く活躍が期待される。


ムーン不運…““玉突き≠ナ6着

【移籍初戦飾れず】

ダーレー・ジャパン・ファーム(DJF)に40億円で取引されて話題を呼んだアドマイヤムーンだったが、6着に敗れて移籍初戦を勝利で飾れなかった。道中は中団できっちり折り合い、4コーナーを回るまでスムーズな競馬。しかし直線に入ってスパートをかけようとした瞬間に、内からの玉突き状態で外へ振られてしまった。その後は体勢を立て直して追い出したが、勝ったメイショウサムソンには遠く及ばなかった。

「競馬にならん。トップギアに入る時に不利があったからね」と鞍上の岩田は声を荒らげる。さあこれからという時だっただけに、感情をむき出しにして怒りをあらわにした。観戦に訪れていたDJFの高橋力代表は「みんな影響を受けているから」と静かな口調で語りながらも「せっかくだからきれいなレースをしてほしかった。競馬の神様が微笑んでくれなかった」と残念そうな表情を浮かべた。

年内で引退し、種牡馬入りが決まっている。気になる今後については「ジャパンC、有馬記念は距離が長いから」と高橋氏は慎重な態度。レース前から今後の種牡馬人生を考えて二千メートルの天皇賞・秋にこだわっていただけに、次に関する明言は避けた。いずれにしろ今後の動向に注目だ。


大健闘!勝負根性見せた!

【アグネスアーク2着】

最後の直線では他馬にぶつけられる不利がありながら、アグネスアークは2着に食い込んだ。「あれがなければもっと際どかったはず」。引き揚げてきた吉田隼は、悔しそうに顔をしかめた。これで札幌記念、毎日王冠の両GIIに続いて、GIでも2着。430キロと牡馬にしては小さな体に似合わない、見事な勝負根性を発揮した。現役時代に父アグネスタキオンとコンビを組んでいた河内師も「不利があっても伸びているんだから、大したもんだ」と健闘を称えていた。


3着も怒怒怒!カンパニー

怒り心頭だ。3着に好走したカンパニーだが、直線入り口でコスモバルクがフラついたあおりを受け、スムーズに前をさばけなかった。「コスモにカットされた。あれがなければ、2着はあった。立て直して、また外に出してだから。ダービー、JCでもそうだったでしょ」と福永はまくし立てた。「馬はよく走っている。国際GIを勝っている馬に先着しているし」。能力は見せただけに、マイルCS(11月18日・京都)での巻き返しを期待したい。


不利で残念9着ダイワメジャー

昨年の覇者ダイワメジャーは直線の不利がこたえて9着に終わった。「スピードのなくなっている馬が内にいたので外に出した。そしたらはじかれてしまって…。馬の状態は良かったので残念」。安藤勝は怒りを抑えて淡々と語る。上原師は「いい感じで行っていて“これから”というところでやられたからね。あのアクシデントは予想外だった」と表情を曇らせた。この後のマイルCSかジャパンCで雪辱を期す。


メイショウサムソン…牡4歳。父オペラハウス、母マイヴィヴィアン(母の父ダンシングブレーヴ)。馬主・松本好雄氏。生産者・浦河 林孝輝氏。戦績・19戦9勝。重賞・06年スプリングS、06年皐月賞、06年ダービー、07年大阪杯、07年天皇賞・春に続き6勝目。総収得賞金・894、645、000円。高橋成忠調教師は初勝利、武豊騎手は89年スーパークリーク、97年エアグルーヴ、99年スペシャルウィークに続き4勝目。

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