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NHKマイルカップ
ピンクカメオ大駆け
内田博中央G1初

2007/05/06・東京競馬場

▼ 第12回NHKマイルカップ
1着 
ピンクカメオ
内田
1.34.3
2着
ローレルゲレイロ
藤田
1/2
3着
トムラマサノヨートー
小林
1/2
   
今や実力、知名度ともに地方競馬No.1の内田博幸騎手(36)=大井・荒井隆=が、23度目の挑戦でJRAのGIを初制覇。超伏兵ピンクカメオとのコンビで新たな記念碑を打ち立てた。この日の勝利は通算2876勝目となった。なお、ピンクカメオにはオークス(20日・東京)への参戦プランも浮上。その動向からも目が離せなくなった。

ゴール前、大外からローレルゲレイロ(右)を差しきったピンク

 

 


スタンドを背に歓喜の内田博

 【中1週でオークス出走も 】

喜びを爆発させるようなことはなかった。「たくさんGIに乗せてもらっていたけど、いまいち結果が出せず(GIでの)経験が少な過ぎるのかなと思っていた」と振り返った内田博。だが、ピンクカメオとのコンビで見せつけた豪快なパフォーマンスは、経験不足という言葉とはかけ離れた、両者の実力があってこそ成せる業だった。

道中は中団やや後ろの位置取り。4角手前では動くに動けず、直線入り口では最後方まで下がった。そこから馬群の大外に持ち出すと、傷みの少ない芝生の上を駆け抜けた末脚は、1頭だけ次元が違った。ライバル17頭をまとめて差し切ったところがゴールだった。

「(直線で)外々へ出して行ったら馬が反応してくれて、これなら入着はあるかなと。勢いに乗ってからがすごい加速。そのとき勝てると感じた」と勝利の瞬間を口にした。「(中央のGIは)チャンスがあればという気はあったけど、勝てるとは夢にも思わなかった」と謙虚に話しつつも、その一方で「本当に僕は数だけは乗っている。JRAで経験は少ないけど“馬乗り”としての経験は豊富。それが生かされたのかもしれません」と、地方No.1のプライドもにじませた。

強烈な末脚を発揮したピンクカメオ。栗東に滞在して臨んだ前走・桜花賞14着から見事に巻き返した。新潟競馬場で報告を受けた国枝師は「美浦に戻ってきてからパワーアップを感じていた。展開がはまったこともあるけど、できると思っていなかった大外一気の競馬ができたのもうれしい誤算」と語った。「ブラックホークの妹で、(01年安田記念)あのときを思い出させる走りだったね」と、初GIをプレゼントしてくれた縁深い馬の半妹での勝利を喜んだ。

中1週でオークスへ向かうプランも浮上。「折り合いはつくし、今日みたいな馬場で差してこれたんだから駄目ってことはない。二千四百メートルでも」と内田博はきっぱりと言い切った。牡馬をなで斬りにした末脚を武器に、桜の借りを返す可能性も十分だ。


会心のレース運びにピンクカメオの鞍上でガッツポーズの内田博

 

【6年目パカパカファーム初栄誉】

北海道新冠に牧場を構えて6年目のパカパカファームにとって、これがうれしいGI初勝利となった。代表のハリー・スウィニィー氏は「エキサイティング!、ハッピー!」と顔を紅潮させながら「お金がなくてお昼はカップラーメンを食べたけど、夜はお寿司が食べられる」と、ジョークを飛ばした。ピンクカメオの母シルバーレーンは現在、ディープインパクトの子を受胎中。早ければ3年後の夏にデビューを迎える。

【ゲレイロまた惜敗1番人気、無念…重賞5度目の2着】

栄冠まであと少し、本当にもう少しのところで、思わぬ伏兵に大外から強襲された。ローレルゲレイロは直線で満を持して先頭に立ったが、またしても2着。これで重賞で5度目の2着だ。降りしきる雨の中、半馬身差に泣いた。

「馬場が硬かったら引き離せたけど、緩かった分だけね」と藤田は雨雲を恨んだ。スムーズに外め好位を追走。仕掛けるタイミングを待ってから、最後の伸びにかけた。「追い出しを我慢して乗ったけど、オレもこれ以上はうまく乗れない。勝った馬が強かったよ。たぶん何回やっても同じ競馬になる」。ベストを尽くしただけに、最後は勝者を称えるしかなかった。

他の関西馬よりも1日早い金曜輸送を選択。土曜にはスクーリングを行い、準備万端で挑んだ。「最高の出来だった」と昆師も話したが“世代最強の1勝馬”の看板は返上できなかった。ダービー挑戦については「馬の様子を見てから考えたい」と、力なく話すしかなかった。

 【18番人気 ムラマサノヨートーびっくり3着】

18頭立て最低人気ながら3着に食い込み、大波乱決着の片棒を担いだムラマサノヨートー。検量室前に引き揚げてきた小林淳は「惜しかったー」と悔しそうに声を上げた。「ちょっと夢を見ましたね。いい展開になったけど、外に出せなかったから馬群に突っ込みました。よく頑張ってくれましたね」と最後はパートナーの労をねぎらっていた。

 【背信…人気馬が揃って惨敗】

オースミダイドウ
直線力尽き12着 2番人気

骨折明けで臨んだオースミダイドウは直線伸びかけたものの、力尽きて12着に終わった。岩田は「ムキになってなかったし、3角でも折り合いは付いていた。ただ馬場の悪い内から2、3頭目のところを走らされたのが痛かったね。仕上がり自体は良かった」とレースを振り返る。敗れたとはいえ見せ場はつくった素質馬。次のダービーでの巻き返しが期待される。

アサクサキングス
不利受けて11着 3番人気

(1)番枠のアサクサキングスは、道悪の影響をモロに受けて11着に敗れた。道中は3番手を追走。直線へ向くまで馬場の悪い最内を通らされた。「状態は良かったし、返し馬の感触もすごく良かった。せっかくのGIなのに、こんなに枠順で結果が変わるとは…」と、武幸は能力を発揮できずに終わって唇をかみしめた。「ダービー挑戦は状態を見てから決めたい」と大久保龍師も肩を落としていた。

ダイレクトキャッチ
見せ場なく10着  4番人気

コース実績から末脚爆発が期待されたダイレクトキャッチだが、見せ場なく10着敗退。北村宏は「ちょっと下を気にしてハミを取らなかったので…。追い出してからも沈む感じがありませんでした」と首をかしげる。ダービー切符を手にするために陣営はギリギリまでトライアルのプリンシパルSとどちらに出走するか迷っていたが、これで大舞台出走への道は、ほぼ断ち切られた

 


NHKマイルCの表彰式でプレゼンターを務める江夏氏(右)

 【江夏氏表彰式でプレゼンター 】

本紙・評論家の江夏豊氏が、“大沢親分”こと元日本ハム監督の大沢啓二氏とともに表彰式でプレゼンターを務めた。「今日は午後のレースをずっと買ったんだけど、全部ダメだったよ」と馬券の結果はかんばしくなかった様子。それでも「一生懸命走って馬はいじらしいね。また遊びに来たい」と競馬場での一日を楽しんだようだった。

 

 【NHKマイルC★アラカルト★ 】

☆…牝馬3頭目の優勝 97年シーキングザパール、05年ラインクラフトに続く勝利。桜花賞→NHKマイルCの臨戦過程もラインクラフトと同じ。

☆…金子オーナーは3勝目 金子真人名義だった01年クロフネ、04年キングカメハメハで優勝(今回は金子真人HD)。3度目のNHKマイルC制覇となった。JRAのGIは通算17勝目。

 
ピンクカメオ…牝3歳。父フレンチデピュティ、母シルバーレーン(母の父シルヴァーホーク)。馬主・金子真人ホールディングス(株)。生産者・北海道新冠 パカパカファーム。戦績・7戦4勝。重賞初勝利。総収得賞金・139、133、000円。国枝栄調教師、内田博幸騎手ともに初勝利。

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