安田記念

香港マイル王が日本も制圧
ブリッシュラック 100万ドルの輝き

2006/06/04・東京競馬場

▼ 第56回安田記念
1着 
ブリッシュラック
プレブ
1.32.6
2着
アサクサデンエン
藤田
2 1/2
3着
ジョイフルウィナー
ビード
   
 香港のマイル王者が、日本でも鮮やかKO勝ち。中位の内を進んだプレブル騎乗の3番人気ブリッシュラックが、直線で馬場の中央を一気に突き抜けて圧勝。100万ドル(1億1000万円)のボーナスもゲットした。2馬身1/2差の2着に昨年の覇者アサクサデンエンが追い込み、外から末脚を伸ばした香港のジョイフルウィナーが鼻差の3着。1番人気オレハマッテルゼは10着に敗れた。
香港馬のブリッシュラック(左から2頭目)が安田記念を快勝、鞍上のプレブルも派手なガッツポーズ=東京競馬場
 

 【圧勝2馬身半!昨年の無念晴らした】

 この1年間、たまりにたまった悔しさ。それは右手を高々と突き上げたド派手なガッツポーズとともに、ブリッシュラックがこん身の力で晴らしてみせた。

クルーズ調教師(左)と喜びを分かち合うプレブル=東京競馬場

 まさに圧勝。直線に入って前が開くと、はじき出されるように先頭に躍り出た。右ステッキが風車のように連続して回転されると、香港からの大応援団が待つゴール板へ真っ先に飛び込んだ。「思ってたより早めに先頭へ出てしまって、力を抜くところがあるから心配だったけど力強く伸びてくれた。この馬には本当に驚かされることばかりだよ」。プレブルは苦笑いながら相棒の底力を絶賛した。

 「昨年のこともあるから“トラブルに巻き込まれないよう忍耐強くチャンスを待て”とだけ指示した」とクルーズ師。昨年は不利もあって4着。「勝てると思っていただけにガックリだった。その時から、もう一度挑戦することだけを思ってきた」。昨年と同様、前哨戦のチャンピオンズマイルを勝ち、堂々と“香港の最強マイラー”として牙を研いできた。

 「日本のスピード馬場はブリッシュのためにある。馬の状態は百パーセント。あとは内枠が欲しい」。運も味方した。枠順が決まった夜に早くも勝利を確信し、好きなアルコールがはかどったようだ。

 昨秋のスプリンターズSをサイレントウィットネスで勝利し、これが日本のG12勝目となった香港の若き敏腕トレーナーは「これをステップに、どんどん世界へ飛び出したい。安田記念?また来たいね」と大きな野望を抱く。秋にはサイレントウィットネスが、そして来年の夏にはブリッシュラックが、日本の短距離界に再び“香港旋風”を届けにやってくる。

 【オーナーも感激!ボーナスもゲット】

 アジア・マイル・チャレンジとして香港、日本、豪州、ドバイで行われる4レースに2勝以上すると与えられるボーナス。前走に続く2勝目を挙げたブリッシュラックは、優勝賞金1億円のほかに100万米ドル(約1億1000万円)も手にした。オーナーのW・ウォン氏は「言葉にできないほど喜ばしいことだよ」と、30人の大応援団を前にガッツポーズを繰り返した。

 【アサクサデンエン 意地の2着】

 昨年の覇者アサクサデンエンは、10番人気という低評価をあざ笑うかのように、直線で自慢の末脚をさく裂させて2着。「遅い流れだったので、もう少し前につけたかったけど、外枠だったからね。直線で前が詰まり、針の穴を通すようにさばいてきたけど…」と藤田は残念そう。河野師は「厳しい位置から、あそこまで追い上げて来るんだから、力はある」と愛馬をねぎらっていた。

 【香港勢ジョイフルウィナーは3着】

 ジョイフルウィナーは外から末脚を伸ばして3着。ハナ差で香港のワンツーは逃したが、直線ではいったん2番手まで押し上げる好内容。ビードマンは「展開もスムーズだったし、手ごたえ良く、最後の直線に向きました。でも残念ながら、先に抜け出したブリッシュラックを捕まえることができなかった。勝った馬はとても強かった」と同じ香港から参戦したライバルを称えていた。

 【1番人気 オレハマッテルゼ10着惨敗…】

 1番人気のオレハマッテルゼは10着に敗れ、短距離2冠はならなかった。好スタートから外めの好位を追走したが、伸びきれなかった。「隊列が落ち着いて、これからっていうときにぶつけられた。海外ではこういうレースが普通なんだろうね」と柴田善は唇をかむ。3角手前でザデュークが馬体をぶつけまくった影響を、玉突きのような形で受けてしまった。「3コーナーで離されてしまって、終わったね。残念だった」と音無師も悔しさを隠しきれなかった。

 【ハットトリック陣営は怒り心頭】

 直線で最内を突いたハットトリックは、進路が空かず13着に敗れた。岩田は「進路がふさがったあとビュンと伸びたので、馬に申し訳ないことをした」とガックリ。角居師は道中でインセンティブガイに馬体をぶつけてきた香港馬に怒り心頭だ。「ぶつけてコースをつくるなんて日本ではあり得ない。チャンスがあれば、(ハットトリックで)秋にもう一度行ってやっつけたい」と2年連続の香港遠征を示唆。また「宝塚に使えればと思っている」と、状態次第でハットトリックの宝塚記念(25日・京都)参戦を口にした。

 
ブリッシュラック…せん7歳。父ロイヤルアカデミー、母ワイルドヴィンテージ(母の父アリシーバ)。馬主・W・ウォン氏。生産者・米国 RoyalMorris&IsabelMorris。戦績・43戦11勝。重賞6勝目。総収得賞金・663、880、000円。A・クルーズ調教師、騎手のプレブルともJRAのG1初勝利。

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