高松宮記念

みんな待ってた!
オレハマッテルゼ G1初V

2006/03/26・中京競馬場

▼ 第36回高松宮記念
1着 
オレハマッテルゼ
柴田善
1.08.0
2着
ラインクラフト
福永
3着
シーイズトウショウ
池添
1 3/4
   
 短距離界に新王者が誕生した。戦国G1を制したのは4番人気のオレハマッテルゼ。中団から好位へ進出すると、直線で抜け出し初タイトルを手にした。管理する音無師は95年の開業以来、うれしいG1初勝利。騎乗した柴田善は00年のキングヘイロー以来、6年ぶりのG1制覇。また、1番人気のシンボリグランは伸び切れず6着に終わった。
直線抜け出したオレハマッテルゼ(右)がラインクラフトの追撃を振り切り初G1制覇
 

 【短距離界に新王者】

  ムチの嵐が飛ぶ馬群の中を、力強い脚取りで栗毛のボディーが割って出てくる。初めての6F戦こそが、ようやく見つけた得意舞台だった。持っている全ての力を振り絞って、オレハマッテルゼが大歓声の待つG1ゴールに飛び込んだ。まさにみんなが待っていた初タイトル。短距離界に新王者が誕生した瞬間だった。

 検量室前では音無師が握手攻めにあっていた。「おめでとうございます!」の声が四方八方から飛ぶ。調教師として開業してから12年目。ようやくつかんだ初G1の美酒だ。「長かったですからね。チャンスがなかったわけじゃなく、チャンスがありながら、なかなか勝てなくて…」としみじみと余韻に浸る。昨年、一昨年の天皇賞・春では、リンカーンが1番人気に推されながらも栄冠には届かなかった。一昨年、リーディングトレーナーの座を手にしても、G1には縁のなかったトレーナー。しかし、晴れて頂点の座をつかむことができた。

初G1Vの興奮冷めやらないオレハマッテルゼと柴田善
がっちりと握手する音無師(手前)と柴田善

 しかも騎手時代にノアノハコブネで85年オークスを制した小田切オーナーとのコンビで、再び手にした栄冠だ。「小田切さんには騎手のときもお世話になって、ずっとお世話になりっぱなしで続いている。ありがたいと感謝している」。00年には放牧先の不慮の火災で、オーナーから預かっていたエガオヲミセテを亡くした。全弟のマッテルゼで、無念を晴らしてみせたという気持ちもあっただろう。音無師もさすがに言葉を詰まらせた。

 愛馬を表彰台にエスコートしてくれたのは、柴田善の手腕でもあった。前々走の東京新聞杯で頭差の2着に敗れたとき「ゴール前で甘くなるので千二に使ってみましょう」と進言してくれた。00年にキングヘイローで高松宮記念を制した男が、6年ぶりにG1で大仕事を成し遂げた。

 一気にチャンピオンに躍り出たマッテルゼ。今後の路線は千二だけでなく、マイルも含めて柔軟に見据えている。短距離界の主役が華々しく現れた。

 【オーナー感無量「すごくうれしい」】

 小田切有一オーナーは、音無師とのコンビで勝ったG1に感無量の表情。「音無もG1を勝つのは小田切の馬、小田切も音無の馬と思っていた。それを実現できたことがすごくうれしいね」と話した。オレハマッテルゼの名前は石原裕次郎主演の映画タイトルを引用。「いまは、オジサン世代のパワーがない。エールを送る意味で名付けた」と由来を明かす。「ジョッキーが短い方がいいと言ってくれた。みんなで勝ち取った勝利だね」と話していた。

 【クラフト 初スプリントにも2着】

 G1の2勝馬の力は示した。ラインクラフトは大外から勝ち馬に急追したが2着。初体験となったスプリント戦の激流にも、持ち前の競馬センスで対応した。

 着差が“クビ”だけに福永の表情に悔しさが募る。「ケンイチ(池添)が、もう少ししっかりコーナリングしてくれていれば…勝ち馬がインから抜けて“あ〜あ”って感じだった。馬はよく走っているだけにね」。4角から直線入り口の場面。池添騎乗シーイズトウショウの直後外を進んだユーイチにとっては、勝ち馬の進路がシーイズの内にできたことが納得いかなかったようだ。それでも池添は馬場の荒れた部分を避けるように外めを通った結果。枠順の並びが、そのままコース取りに反映される小回り短距離戦。結果的に勝ち運がなかったということか。

 それでも栗東帰きゅうから3週間足らずと準備期間が短いなかでの銀メダル。「この後はヴィクトリアマイルもある。そこに向けても、いい休み明け初戦だった」と瀬戸口師は前向きに話した。この日取り逃がした3つ目のビッグタイトルは、初代女王を争う新設G1の舞台で必ず奪取する。

 【1番人気グラン魔さかの圏外…】

 初G1奪取はスタート一完歩目で夢と消えた。外の先行馬数頭が内に切れ込んだ影響を受けたシンボリグランは、ほぼ最後方までポジションを下げた。「もっと好位で競馬をしたかったけど…。馬に申し訳ないことをした」と、デムーロは唇をかむ。「あの位置では直線に向いた段階で圏外。でも“しょうがない”ではすまされませんね」。1番人気を裏切った責任からか、畠山吉師は力なく笑うしかなかった。

 【シーイズ3着も力出し切った】

 3頭の追い比べになった3着争い。写真判定の末、シーイズトウショウが2頭を競り落とした。4角では勝ち馬の右斜め前に位置していたが、直線は瞬発力の差に屈した。池添は「スタートが決まって引っ張り切りで追走できた。直線の反応もよかったんだけどね。3角でちょっと脚を取られたけど、それ以外はスムーズだった。自分の競馬はできたし、仕方がない」と力を出し切った内容にサバサバとした表情だった。

 
オレハマッテルゼ…牡6歳。父サンデーサイレンス、母カーリーエンジェル(母の父ジャッジアンジェルーチ)。馬主・小田切有一氏。生産者・早来 ノーザンファーム。戦績・26戦8勝。初重賞。総収得賞金・292、852、000円。音無秀孝調教師は初勝利、柴田善臣騎手は00年キングヘイローに次いで2勝目。

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