オークス(優駿牝馬)
 10年ぶりの2冠牝馬誕生 2003/05/25・東京競馬場
 
メンバー最速の末脚で抜け出すスティルインラブ
 牝馬クラシックの第2戦は2番人気の桜花賞馬スティルインラブが直線力強く抜け出して優勝。93年ベガ以来10年ぶりの牝馬2冠を達成した。2着に13番人気チューニー、3着も9番人気シンコールビーの伏兵が入り、3連複9万5530円と波乱。単勝1・7倍と圧倒的1番人気のアドマイヤグルーヴは、出遅れが響き7着。母娘3代制覇の快挙はならなかった。

 樫の舞台で2番人気に甘んじようと、桜のティアラは色あせたりしない。最後の直線、幸がゴーサインを出すと、馬場の外めから力強く抜け出したスティルインラブ。幸が右手を高く上げ、10年ぶりの2冠牝馬が誕生した。

▼ 第64回オークス
1着  スティルインラブ
2.27.5
  2着 チューニー
後藤
1 1/4
  3着 シンコールビー
佐藤哲
1 1/4

 「今日は桜花賞以上にうれしいですね」。お立ち台の上で幸が端整なマスクを紅潮させる。チューリップ賞を自らのミスで落とした責任を感じ、大きなプレッシャーに包まれた桜花賞。「あのときはホッとしたのが一番でしたけど、今日はうれしいというのが大きかった。気楽に乗れましたし、距離も能力でこなしてくれると信じてました」。

 新装された東京競馬場を攻略するため、前日も東京で騎乗。包まれるのを嫌って早めに外に出した理想的なレース運びには、その成果が表れていた。

 本番に備えたのは人だけではない。馬も金曜に入きゅうし、前日には幸を背にスクーリングした。「普段はスタッフに任せっ切りなので、またがるのは桜花賞以来。でもすごく落ち着いていたので、ボクも落ち着けました。レースでもまたがってただけですから」。幸は馬の力を強調する。

 管理する松元省師は、伊藤雄師に続く現役2人目の春の4大クラシック完全制覇を成し遂げた。この日の昼、トウカイテイオーの名前入りの馬運車を目にしたという師は「初めて見たのでね。縁起がいいから“勝てる”と思いました」とエピソードを明かした。牡馬で2冠を達成した馬こそ、そのトウカイテイオー。きゅう舎の偉大な先輩も、妹分の背中を後押ししたのかもしれない。

 このあとは未定だが、夏は休養に充て秋に備える公算が大きい。「何も注文を付けるところのない馬。ボクがこの馬に見合うように成長することが大事ですね」。幸の言葉が女王の力を証明する。きたるべき秋。それはメジロラモーヌ以来17年ぶり2頭目の3冠牝馬誕生の瞬間になるかもしれない。(竹下かおり)

スティルインラブ…牝3歳。父サンデーサイレンス、母ブラダマンテ(母の父ロベルト)。馬主・(有)ノースヒルズマネジメント。生産者・門別 下河辺牧場。戦績・5戦4勝。重賞・03年桜花賞。総収得賞金・287、762、000円。松元省一調教師、幸英明騎手ともに初勝利。
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