高松宮記念
 アンカツが夢をかなえた 2003/03/30・中京競馬場
 
ビリーヴが他馬を寄せ付けず秋春スプリントG1を連覇
  JRA騎手となって初参戦の安藤が、待望の中央G1初勝利。3番人気とここ2走の敗戦で人気を落としていたビリーヴを、鮮やかにスプリントG1秋春連覇へ導いた。95年のライデンリーダーから8年、24回目のG1挑戦で宿願達成。アンカツは静かに喜びに浸った。外から詰め寄ったサニングデールが2着、連覇を狙ったショウナンカンプは直線で失速して7着に終わった。

 絶好の手応えで迎えた直線、逃げるショウナンカンプに、ビリーヴが並び掛けた。アンカツが満を持してゴーサインを送ると、一瞬にして置き去りだ。あとはひたすら夢の中央G1ゴールを目指して、追いまくった。待ちに待った感激の瞬間、鞍上は喜びをかみしめるかのように静かにゴール板を駆け抜けた。

▼ 第33回高松宮記念
1着  ビリーヴ
安藤
1.08.1
  2着 サニングデール
福永
1馬身
  3着 リキアイタイカン
武幸
1 1/4

 「どうや、いいもんだろ」。出迎えた前田幸治オーナーの言葉に、ようやく笑みが漏れた。「こんなに早く、勝てるなんて」。念願のJRA免許を取得してから、30日目で初のG1制覇。しかしその道のりは、決して早いものではなかった。

 16年前、笠松時代のオグリキャップの主戦だった。中央入りを応援しながらも、当時の制度で自らは騎乗できない。悔しい思いで見送った。中央・地方の交流元年となった95年、ライデンリーダーで見た夢は、自らの若さで逸してしまった。

 それから8年。中央のG1を勝ちたい一心で移籍し、一度ははね返された壁を乗り越えた。移籍後、最初のG1で大歓声の声援に酔った。「直線はこの手応えで負けたらどうしようかと、ドキドキだった。これからも、もっと努力して頑張りたい」。あこがれが現実になり、28日に43歳の誕生日を迎えたばかりの“ルーキー”の口からは、初々しい言葉がこぼれた。

 「やっと立ち直ってくれたね。さすがアンカツ」。松元茂師も感慨無量の表情を浮かべる。阪急杯でまさかの9着敗退から巻き返したビリーヴは、昨秋のスプリンターズSに続き、秋春スプリントG1連覇を達成。見事な復活を遂げた女王は、安田記念(6月8日)へ進み、昨年逃したJRA賞ゲットをもくろむ。

 さあ本格的なG1シーズンへ突入。2週後の桜花賞では同じ松元茂きゅう舎のヤマカツリリーで挑戦する。2勝、3勝―。アンカツがG1戦線を突き進む。(村上英明)

ビリーヴ…牝5歳。父サンデーサイレンス、母グレートクリスティーヌ(母の父ダンチヒ)。馬主・前田幸治氏。生産者・鵡川 上水牧場。戦績・23戦9勝(うち海外1戦0勝)。重賞・02年セントウルS、スプリンターズS。総収得賞金・360、778、000円(海外0円)。松元茂樹調教師、安藤勝己騎手ともに初勝利。
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