昨年Vのトレヴに復活の兆しは見えず

 「凱旋門賞・仏G1」(10月5日、ロンシャン)

 今年の凱旋門賞には日本から史上最多の3頭が参戦する。ゴールドシップは重い馬場をめっぽう得意としており、ハープスターは日本勢で初めて参戦となる3歳牝馬。凱旋門賞を勝つために必要な要素を備えている。もう1頭のジャスタウェイは世界レーティング1位。世界最高峰レースに挑む日本馬のライバルをみていきたい。

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 昨年、日本馬2頭(オルフェーヴル、キズナ)を置き去りにしたトレヴ(牝4歳、父モティヴェーター、C・ヘッドマーレック)だが、年が明けてからは“どうした”と見出しをつけたくなる内容が続いている。仏オークス(ディアヌ賞)・仏G1を無敗で制してカタールの王族にトレードされ、ヴェルメイユ賞、凱旋門賞とロンシャンのG1を連勝したころの輝きは明らかに失せている。

 いきなりのつまずきだった。凱旋門賞以来となった4月のガネー賞・仏G1で2着に終わって初黒星。続くプリンスオブウェールズS・英G1では3着に沈んだ。前者の覇者は11年のカルティエ賞の最優秀古馬シリュスデゼーグル(セン8歳、父イーヴントップ、C・バランドバルブ)で、ドバイ・シーマクラシック・UAEG1・2着からの参戦だった。ドバイDF・UAEG1で11着に大敗してトーンダウン気味だったが、後者を勝ったザフューグ(牝5歳、父ダンシリ、J・ゴスデン=引退)も昨年の凱旋門賞で一時は有力候補と目された実力馬(不出走)。2着のマジシャン(牡4歳、父ガリレオ、A・オブライエン)も13年カルティエ賞の最優秀3歳牡馬で弱い相手に負けたわけではない。ただ、内容は前向きにはとらえがたいものだった。

 ガネー賞では最後方追走から直線で勝ち馬に外から並び掛けて、一度は前に出た。しかし、激しい抵抗に遭って、内ラチ沿いでのたたき合いの末に短首差の惜敗。プリンスオブウェールズSは遅れ気味のスタートから先に抜け出したザフューグに置いていかれ、馬体を合わせに行った2着馬にも突き放される始末。ガネー賞は逃げ馬が内を大きくあけて直線を向いたように、かなり悪いコンディション(不良)で行われた。英G1も初めての仏国以外での競馬、コースレコードでの決着、のちに背中の筋肉を痛めていたことが発表されるなど、言い訳の材料は並べられるが、パフォーマンスの低下は否めない。

 キングジョージ6&クイーンエリザベスSを回避し、秋のロンシャンから再スタート。舞台は昨年、L・デットーリの馬の能力への強い信頼を感じさせる騎乗が印象的だったヴェルメイユ賞・仏G1。鞍上にはともに凱旋門賞を制したT・ジャルネが戻った。ただ、ここでも精彩を欠く。最後方から直線で外に持ち出したが、いい脚を使ったのは一瞬。早々に脚勢が衰えて、ドルニヤ(牝3歳、父アザムール、A・ドゥロワイエデュプレ)に差し返されて4着に沈んだ。77、78年のアレッジド以来、凱旋門賞連覇は途絶えている。歴史に名を刻むのか。過去の馬となるのか。復活の兆しが見えないまま、女王は大舞台に向かう。

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