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　優勝戦１号艇で登場した井口佳典（３４）＝三重・８５期・Ａ１＝が、待機行動中に舟に大量の水が入る不利を克服して、インから逃げ切り勝ち。シリーズ中にトップＳが１度しかない“ぶちこみ”封印のスタイルで、０９年賞金王シリーズ以来のＳＧ制覇。笹川賞は０８年平和島以来２度目のＶとなった。２着には４コースから、１Ｍをうまく立ち回った菊地孝平。

笹川賞２度目制覇！ＳＧ４勝目ゲット！

 

　Ｓ直前の井口にアクシデントが襲う。小回りを回ったところで隣の渡辺から圧力を受け、舟に水が大量に入り込む。備え付けのスポンジを使い、必死に取り除こうとしたが「入ってきたのがハンパじゃない量で…。出し切ることができませんでした」と振り返る。「ターン出口で押す感じがないし、最悪の状態」だったが、何とか１Ｍ逃走態勢を作り、冷静なターンで押し切った。

　優勝戦のＳはコンマ１３で、遅い方から２番目。節間を通してもトップＳは１走だけ。「Ｓをぶちこむ」が決まり文句だった姿とは全くの別人だ。「正直、前は舟脚はどうでもよかったんです。今は整備やペラを少し覚えて、Ｓで攻めなくても舟脚でカバーできるようになりました」と言う。

　Ｓをぶちこまなくなっても、強気な姿勢は崩れない。今回は舟脚に手応えを得て「初日を終わって優勝を意識したし、予選トップ通過の時点で確信に変わった」と自信満々。優勝戦はトラブルこそあったが、臨む姿勢は「勝って当たり前」。今回のＶで見えた、０８年以来となる賞金王決定戦出場へも「今は自信しかありません」ときっぱり言い切った。

　新ペラ制度になって初のＳＧを制した。「あんな進入しといて、歴史に名を残すなんて言えませんよ」と苦笑いだったが「今度のペラで、何となく分かったこともある」と新制度への対応には手応え十分。「復活と言って下さい」と、輝きを取り戻した０８年賞金王決定戦覇者・井口が、ボート新時代を引っ張る。

【優勝戦VTR】

　Ｓ展示の並びは３対３の枠なりだったが、本番では地元菊地がスローの４コースへ動き１２３６・４５。１番人気を集めた井口は待機行動中に、大量の水をもらうアクシデントがあったが、インからコンマ１３のＳを決めて気合の先マイ逃走を披露。１Ｍで優勝を確定させた。２着は１Ｍで最内を差した菊地が、２Ｍも冷静にさばいて入線した。３着争いは４艇が絡む大混戦を渡辺が制した。１周２Ｍをさばいて浮上すると、最後は追い上げる静岡の後輩・坪井を振り切った。