【ボート】魚谷香織、母は強し!“二刀流”レーサーに迫る
男女がほぼ同じ条件で戦うボートレース。女子レーサーは現在210人いるが、そのうち、子どもを持つ“ママさんレーサー”は65人。子育てをしながら、レースで頂点を目指すというボート界の“二刀流”に迫る。直前に迫ったプレミアムG1・レディースチャンピオン(8月2~7日・津)で、初のG1制覇を狙うV候補の魚谷香織(31)=福岡・96期・A1=は母としてレーサーとして、目下奮闘中。
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-選手になって5年目の2010年に、青木幸太郎選手(※1)と結婚されました。普段の生活は。
「お互い選手同士なのでほぼ会えないですね。でも同じ価値観でお話ができるし、お互いをわかり合えるので良かったと思います」
-ほとんど会えなくて寂しくないですか。
「自分は気が強いのでずっと一緒にいたら分からないじゃないですか。ある程度時間を空けると、ずっと恋人気分でいられる。仲良く、うまくいってますよ」
-分かります(笑)。1年後の11年に妊娠が分かりました。
「いつ子どもができてもいいと思っていたが、なかなかできなくて…。じゃあもう少しボートを頑張ろうと思った時に妊娠が分かりました」
-選手としては、いい時期ではあった。
「やる気があった時だったので、生まれたらすぐに復帰しようと思ってたし、妊婦の間もずっと復帰のことを考えてやってました」
-12年11月の住之江で復帰。その後は子育てとの両立。
「息子は4歳で、幼稚園に通っていますが、レース中は、旦那の親と同居なのでおばあちゃん(青木の母)がみてくれています。いつも一緒なんで生活自体はそんなに変わってないですね」
-子どもが寂しがりませんか。
「別れる時はつらいのもある。今回も泣かれました。だんだんと分かるようになってきて、寂しい思いはさせてると思う」
-その分、家に帰った時には。
「すごく喜んでくれます。仕事でなかなか会えないので、家にいるときは全部やりきってやろうと、子どもとの時間を作ってます」
-仕事で幼稚園の行事などには、なかなか参加できない。
「去年は福岡でQC(クイーンズクライマックス)があったので頑張ってレースを優先したが、いい方には向かなかった。だから今年は(大事な時は)あっせん辞退を出して、運動会や遠足などの行事には参加してます」
-レースを休んで焦りとかはない。
「去年は無理して自分を苦しめていたので今年は子どもメインにしようと。これが良かったみたいで、自分にも余裕ができて、気持ちが苦しくなくなった」
-世間では待機児童とかの問題もあります。
「ボート選手の場合は親が助けてくれている人が多い。正直それがなければ100%できない。一般の方に比べると恵まれてると思う。働いてもいいと言ってくれている環境もあるので、私も頑張ろうと思える」
-ママさんレーサーも増えてますが、先輩として。
「業界的にはいいことだと思う。せっかく選手になったんだから、やれるならやった方が絶対いいと思う」
-最後に、子どもがボートレーサーになりたいと言うかもしれない。
「いや~どうですかね。でも何も知らない一般の家庭よりは“やりたい”と言う確率は低くないと思う。男の子なので本人が言えば応援はしたい。ただこっちから“やれば”とは言わないと思う」
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※1青木幸太郎(あおき・こうたろう)1984年5月8日生まれ、福岡県出身の32歳。やまと学校95期に入学し、04年11月の若松でデビュー。初優勝は12年7月の児島一般戦。