【新潟2歳S】クエスト流して4馬身差

 「新潟2歳S・G3」(30日、新潟)

 細かい雨が降りしきる新潟のターフを、一頭だけロードクエストが次元の違う走りで駆け抜けた。

 出遅れから大外一気に突き抜けた新馬戦同様、この日もスタートは遅れたが、陣営にとっては想定内。慌てることなく、じっくりと最後方に構えた。「アクシデントがない限り負けることがないと思える手応え。余裕を持って直線を迎えられた」と田辺は自信満々で進めたことを明かす。

 それは直線の進路取りにもはっきりと表れていた。4コーナー、他馬が雨の影響で荒れた馬場を嫌い外めへ進路を取るなか、あえて内を突っ込む。そこからが驚きのパフォーマンスだ。残り300メートル過ぎで馬なりのまま先頭に躍り出ると、軽く気合をつけた程度で馬場のいい外めに持ち出しながら“流したまま”ゴール板を悠々と駆け抜けた。新潟の長い直線、結局鞍上の手綱が大きく動くことは最後までなかった。

 想像以上の強さに、田辺も「正直、ビックリしています」と目を丸くする。実戦では初騎乗だったが、中間はケイコにまたがり、コンタクトを取ってきた。「ゲートは良くないのでソロッと出して、この馬のリズムを崩さないように乗った」。腹を据えた騎乗で見事に能力を引き出した。

 無傷の2連勝で初タイトルをゲット。この日も装鞍所で大暴れするなど、まだまだ粗削りな面も残すが、この勝利で夢は大きく広がった。小島茂師は「なかなかこういう馬には巡り合えないし、大きいところを狙っていきたい」と笑顔を見せる。次走は未定。“本気”を見せたら一体どんな強さなのか-。数多くの重賞ウイナーを輩出してきた“出世レース”から、今年もまたスター候補が誕生した。

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