【ドバイWC】タルマエ逃げ切れず5着

 「ドバイワールドカップ・G1」(28日・UAEメイダン)

 歓喜の瞬間は訪れなかった。世界最高賞金を誇るワールドカップ・G1はホッコータルマエが果敢に逃げたが、直線でかわされ5着。

 4角過ぎも手応えが残っていた。そこまで外をピッタリと並走していた昨年の覇者アフリカンストーリーは対照的に下がっていく。マークしてくる先行馬を競りつぶして迎えた直線。幸&ホッコータルマエの眼前に、世界制覇が垣間見えた。残り300メートル、後続につかまり夢はついえたが、力なくしんがり負けした昨年とは違う。止まることなく5着に食い下がった。悔しくも納得の“掲示板”だ。

 幸は「道中は手応え良く走っていたけど、内ラチ沿いを並走する車や、ラチについていたスピーカーからの音に反応して無駄な体力を使ってしまった。(昨年のオールウェザー)タペタより走りやすかったし、環境に慣れればもっとやれる」。すがすがしい笑顔とともに力強くうなずいた。

 ただ逃げたわけでなかった。(2)番枠から勝ちに行くための一瞬の判断。西浦師は「タルマエに一番向いている展開を、と幸に任せた。そのまま押し切ってくれるかと力が入ったけどね」と人馬のパフォーマンスをたたえる。

 日本人騎手の起用にこだわっていた。日本馬は11年にヴィクトワールピサが勝ったが、鞍上はM・デムーロ。昨年の参戦時からトレーナーは「日本人が乗って勝ってナンボなんだ」とドバイにかける思いを話していた。

 自身が“世界の扉”をこじ開けた自負がある。騎手時代の84年ジャパンC。ミスターシービーとシンボリルドルフ。2頭の3冠馬が期待を背負った日本の悲願初制覇を伏兵カツラギエースとの逃げ切りで果たす。「やった」「ありがとう」。スタンドから聞こえてきた歓喜の声を聞きながら、「日の丸を背負うとはこういうことか」と実感したという。

 日本人ジョッキーの腕が世界と互角だと示す。その思いがあるから「幸の起用。それは私にとってとても大事なことなんだ」と現地入り後も繰り返した。敗れれば悔しい。だが「これ以上ない。ベストの騎乗だったでしょう」。幸が世界に見せた、こん身の逃げを満足げに振り返った。

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