【札幌記念】ハープV、凱旋門へ好発進

 「札幌記念・G2」(24日、札幌)

 “壮行レース”に北都が沸いた。直線は凱旋門賞・仏G1を狙う2頭の一騎打ち。軍配は52キロの斤量を生かして早めに抜け出した2番人気のハープスターに上がった。初の古馬相手、小回りを克服しての完勝。引き続き川田とのコンビで挑む本番も負担重量が軽いだけに、期待は増すばかりだ。2着ゴールドシップから5馬身差の3着には、ホエールキャプチャが続いた。

 今度こそ、夢では終わらせない。ハープスターが大目標へ向けて好発進を決めた。

 スタート後、4万6000人を超すファンで埋め尽くされたスタンドがどよめいた。馬群の最後方につけたハープスターのさらに約5馬身後ろにゴールドシップと、注目の2頭が後方から進む。それでも鞍上は冷静だった。小回りコースを意識して残り800メートルから進出を開始。間髪を置かずゴールドシップが、その外から追撃した。

 そこからは期待通りの“一騎打ち”に。最後は直線で徐々にインへ切り込んだコース取り、そして5キロの斤量差が勝負を決めた。「向正面に入ってゴールドの位置を確認。3角で動かしていいと指示されていたし、自分のリズムで上がって行けましたね」と、大役を果たした川田はホッと息をついた。

 万全ではなかった。オークスで左前脚の蹄鉄が外れかけたまま走り、まさかの2着。北海道のノーザンファームに放牧後も、その後遺症で歩様が悪かった。札幌入厩後も順調とは言えず、心配した同ファームの関係者が5人も厩舎に見に来たほどだ。最終追い切りでも左前脚を落鉄したが、「次を考えたら1回使わないと。きょうは指示通りに動いてくれたな」と、松田博師は当然の結果と言わんばかりにうなずいた。

 凱旋門賞まで40日余り。ノーザンファームの吉田勝己代表は「本当に強い。心配事は尽きなかったが、全て吹き飛んだ。前から本番も川田騎手で、と考えていた」と大一番でも川田に手綱を託すことを明かした。「目いっぱいでない状態で結果を出せて良かった。無事に本番へ行ってくれることを願うだけです」。指名を受けた主戦も武者震いをする。

 9月20日に3頭で出国、フランスではジャスタウェイ、ゴールドシップと同じく小林智厩舎に入厩する。オールジャパンで悲願成就へ‐。自信を取り戻した日本が誇る若きヒロインが、世界へ大きく羽ばたく。

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