「日本ダービー・Ｇ１」（１日、東京）

　これぞノリ‐。橋口師に悲願の初Ｖをもたらしたのは関東の名手だった。「絶対にスローになる」。従来の追い込む競馬スタイルから一転、スタート後に手綱をしごいた横山典は好位５番手を確保。直線は我を忘れてワンアンドオンリーを追い続けた。「後輩にはいつも“下を向いて追うな”と言っているのに、下を向いていたよ」と４６歳のベテランは恥ずかしそうに笑う。

　弥生賞（２着）の前に騎乗依頼を受けた。「ダービーまで乗せてくれると言ってくれた。乗り代わりの多い時代だけどね。だから好きなように乗れたよ」。昨年は祭典直前で、それまで主戦を務めていたコディーノから降板、テレビ観戦となった経緯がある。常々、競馬を点ではなく線で考える戦略家。タッグを結成した３月からの積み重ねが、最高の結果につながった。

　「橋口先生は（乗り方について）何も言わない。先生が勝つラストチャンスかもしれなかった。良かったね」。信頼のもとで生まれた感動のドラマ。昨年と形は違えど、今年のダービーも“絆”に競馬の神様がほほ笑んだ。