【新潟記念】トランス、サマー王者!

 「新潟記念・G3」(2日、新潟)

 充実期を迎えた7歳馬が大激戦を制した。7番人気トランスワープがメンバー最速となる32秒3の末脚でV。函館記念に続く重賞連勝を決め、サマー2000シリーズ王者に輝いた。馬主に3200万円、厩舎関係者には800万円のボーナスが贈られる。3連単は7年連続で10万円超えとなる、31万3130円の波乱決着に。1番人気トーセンラーは伸び切れず7着に敗れた。

 大激戦となったゴール前。最後の最後で抜け出したのは充実一途の7歳馬トランスワープだった。究極の上がり32秒3の末脚を繰り出し、函館記念に続く重賞V。サマー2000シリーズ王者の座を力強くもぎ取った。

 「本当はもう少し前々の位置が良かったんですが。中団になったので割り切って折り合いに専念しました」と大野。道中は9番手でじっくりと脚をため、ゴーサインを出したのは残り500メートル。「一発ムチを入れて(他馬と)“反応が違うな”って。前走同様、抜群の切れでしたね」。グイグイと脚を伸ばし、6着までが0秒1差にひしめく激闘を見事に制した。

 戦前は高速馬場への適性に不安を抱いていた。洋芝の函館とは異なり、新潟の芝は軽い。「パワータイプだから。速くなるとどうかな」という心配も、杞憂(きゆう)に終わった。「半信半疑だった。馬に申し訳ないですね。もっと信用して乗らないと」と想像を上回る充実度に舌を巻く。

 体質が弱く、09年12月~11年7月は1年6カ月に及ぶ長期休養を経験。萩原師は苦難の日々を振り返りながらしみじみと語る。「馬には“ありがとう”と言いたいですね。トランス自身は人間なら苦労人。あくまで今の時点でにはなりますが、“ご苦労さま”とも言いたいです」。紆余(うよ)曲折がありながらたどり着いた夏の王者。トレーナーは感慨深げな表情を浮かべた。

 7歳馬でもキャリアはまだ20戦。未知の高速決着にもあっさり対応したように、伸びしろは十分に残っている。「戦歴が浅い分、今後も楽しみですね」と、コンビを組んで7戦4勝、2着2回の大野もうなずく。遅れてきた大物が、秋のG1戦線でも台風の目になりそうだ。

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