【上田まりえ 11】辞めるという決断の先に広がる無限のチャンスと選択肢

 「そんなに泣くくらいなら辞めなければいいのに」-今年も相次ぐプロ野球のFA宣言。泣きながら会見をする選手を見て、そう言う人がいます。私も一昨年まではそのように思っていました。大好きだと言いながら、どうして別の球団に行くのか。泣くほど好きであるならば、なぜそのような決断をするのか…。その選手や球団に特別な思い入れがなければ、そのように感じるのが素直な気持ちなのかもしれません。

 それが、私も全く同じことを言われました。「そんなに泣くのなら、辞めるのを辞めたらいいのに」-1月31日、日本テレビを退社する日。大勢の社員が見守る中、最後のあいさつを始めた瞬間から、堰を切ったように溢れ出る涙。

 「わ、私はっ…ほんっ…とうに、日本テレビのことが…大好きでっ…うぅっ」と自分の気持ちを最大限に伝えようとすればするほど嗚咽する私に、ある方が笑いながらツッコミを入れてくださいました。「そうだ!そうだ!」とフロア中大爆笑でとても和やかな雰囲気で送り出していただきました。

 3年前に新たな夢が見つかり、退社を考え始めたとき、強く心に決めたことがありました。“アナウンサーという仕事が楽しくて、大好きで、辞めたくない”と心から思えるようになったとき、それでも夢に対する気持ちが変わらなかったら会社を辞めようと。少しでもネガティブな感情を持っていたら辞めるのを辞めていました。

 アナウンサーという素晴らしい仕事に対しても、これ以上ないほど最高の環境で働かせてくれた日本テレビに対しても愚痴が出ると思ったからです。そんな気持ちじゃ新しい道に進んでも上手く行くことはないし、楽しめないですよね。

 環境を変えることが、必ずしも良い結果を生むという保証はありません。留まっていれば、現状維持、もしくはそれ以上の結果を残すこともできていたかもしれません。ただ、辞めると決めた瞬間から何もなくなるけど、逆に言えば、選択肢は無限に広がっている。チャンスだって、無限。アナウンサーという仕事が、日本テレビが、本当に大好きだからこそ、新しい夢が見つかり、今があります。本当に感謝しているからこそ、それが頑張る力になっています。

 「あぁ、わかるなぁ…」-今年FA宣言した選手の涙を見て、私も鼻の奥がツンとしました。涙の粒は、愛の深さ。大きな決断をした選手のみなさんに負けないよう、私も頑張ろう。そう胸に誓った2016年のストーブリーグなのでした。

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