【上田まりえ 8】「おっ、失恋したの!?」はい,その通り

 「失恋しちゃった」-先日、遠方に住んでいる友人からメールが来ました。遠距離恋愛をしていた2人。やはり、距離には勝てなかったようです。人をなかなか好きになることがなかった彼女が「誰かをこんなに好きだと思ったのは初めて」だと言っていた相手だっただけに、電話越しの言葉は涙にかき消されて、あまり私の耳に届いてきませんでした。

 年齢を重ねれば重ねるほど、誰かを好きになるのが怖くなります。そして、失恋の痛みはより大きく、立ち直るまでにかなりの時間を要するようになりました。1つの恋が終わる瞬間、人生が終わるくらいの絶望感に苛(さいな)まれます。相手への想いを温めて期間が長ければ長いほど、深ければ深いほど、なおさらです。

 実は私、失恋して髪を切りました。1年半ほど前のことです。泣いても泣いても涙が止まらず、泣き疲れてなんとか眠る毎日。本当に夜が長かった。食事ものどを通らず、水すら口にできませんでした。

 その当時、朝の情報生番組『PON!』を担当していたのですが、ぼってりと腫れた目をメイクで必死に隠し、オンエアに臨んでいました。「ポ~ン!!」という掛け声とともに手のひらを顔の横に開くポーズをとる必死の笑顔の裏で、心は「ド~ン。。」

 退社の意思を会社に伝えた数日後の出来事だったので、その不安とWパンチ。ちゃんと1人で生きていくことができるのか、私なんかのことを好きになってくれる人が今後現れるのか…怖くて、怖くて仕方がなかった。

 10日ほど経ったときに「このままじゃ本当にダメになる!」と、何かを変えたい一心で美容院に電話をしました。突然30cmほどバッサリ切ったもんだから、「おっ、失恋したの!?」といろんな人から言われましたが…はい、その通り(笑)我ながら、なんて古風なんだ!

 でも、そのおかげでショートヘアの自分に出会えたし、踏ん張る強さをもらえました。あの失恋がなければ、きっとこうしてコラムを書いていることもなかったでしょう。傷が大きければ大きいほど、それだけいい恋愛をしていたという証なのかもしれません。失恋万歳!

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