中村鋭一さん死去 「六甲おろし」よ永遠なれ…阪神ファンの名物パーソナリティー

 関西の名物ラジオパーソナリティーとして活躍し、衆参両議員を計16年務めた中村鋭一(なかむら・えいいち)さんが6日夜、大阪府内の病院で肺炎のため死去した。87歳。熱狂的な阪神ファンで、大阪・朝日放送アナウンサーだった70年代に、ラジオ番組で「六甲おろし」を歌唱してファンに普及させ、阪神V逸の際に丸刈りになるなど型破りなスタイルが愛された。

 陽気に軽妙な語りでリスナーを楽しませ続けた「鋭ちゃん」の声が、途絶えた。

 所属事務所によると、中村さんは昨年末に脳梗塞を患い、以降は高齢もあって体調がすぐれず、今春から入院生活が続いていた。春まで冠番組を持っていた大阪・FM千里のHPには「必ず戻ってきます」と記し、病床でもラジオへの復帰を目指し続けていた。

 滋賀県出身。同志社大学卒業後、中学教員を経て、51年に朝日放送に第1期アナウンサーで入社。熱狂的な阪神ファンで知られた。

 71年からラジオ番組「おはようパーソナリティ中村鋭一です」を担当。朝のラジオ番組は録音が主流で、時報代わりとも言われていた時代に、1人のパーソナリティーが生で長時間「関西弁」「独断」で語り続けるスタイルを確立し、高聴取率を誇った。

 アナウンサーは不偏不党とされた常識を打ち破り、阪神が勝利した翌朝には番組で「六甲おろし」を歌唱した。72年には同曲をシングル発売し、大ヒット。同曲をファンに広く普及させた。

 後輩アナで、77年以降「おはパソ」を引き継ぎ40年になる道上洋三アナ(74)によると、中村さんの番組発足当初は「六甲おろし」歌唱に対し、局には「なぜ阪神だけ」「ようやった」と猛烈な賛否の声が殺到。あまりの反響に中村さん本人もびびっていたというが、想像を超える反響の後押しを受け、そのスタイルを貫いた。

 73年、阪神が最終決戦で敗れ、巨人にV9を許した際には盛大な「断髪式」を行い丸刈りに。阪神に優勝を求める嘆願書を集めて、阪神電鉄本社に乗り込んだことでも話題となった。

 77年、政界挑戦のため退社し、参院選落選、タレント活動を経て80年から参院2期、衆院1期を務めた。

 阪神優勝を祝う「六甲おろし」を再びラジオで歌うことを楽しみにしていたという。

 9日に通夜、10日に告別式が大阪府吹田市の「千里会館」で営まれ、親交が深かったキダ・タロー氏(86)と道上氏に弔辞を依頼している。

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