さらば竜じい…井上竜夫さん死去 公私に愛された吉本新喜劇名脇役

 「おじゃましまんにゃわ~」など、トボけたギャグで人気を博し、「竜じい」の愛称で親しまれた吉本新喜劇の役者、井上竜夫(いのうえ・たつお、本名=井上龍男)さんが5日午前4時20分、高度肺気腫のため、兵庫県西宮市内の病院で死去した。74歳。名脇役として53年間、吉本新喜劇を支えたが、昨年から呼吸器系の持病などで入退院が続いていた。近親者、親しかった芸人らで6日に通夜、7日に葬儀を行った。喪主は妻美重子(みえこ)さん。

 登場するなり「おじゃましまんにゃわ~」のギャグでズッコケさせ、セリフを話すうちにコクリコクリと眠り込んでしまい、頭を叩かれると「三途の川、渡りかけてたわ~」-。長年、トボけた芸風で笑いを起こし続けた「竜じい」こと井上さんが、静かに眠りについた。

 兵庫県尼崎市出身。1963年に吉本新喜劇に入団し、若い頃から老け役が定着。ドタバタ劇の中で、のんびりとした言動で名脇役として愛された。

 53年に及んだ吉本新喜劇での役者人生。舞台だけでなく、普段から温和でマイペースだった。付き合いが長かった池乃めだか(73)らによると、天然エピソードに事欠かなかった。怒った姿が目撃されたのは、プライベートでカラオケを熱唱中に勝手にキーを変えられた際と、後輩が自分の悪口を言っていると勘違いした時ぐらいだったとか。

 二日酔いで劇場入りが遅れ、たしなめられた際に逆ギレしたこともあったが、酔いが覚めるとすぐに平謝り。そのキャラクターは同僚や後輩にも愛された。新喜劇座長の小籔千豊(43)がフジテレビ「人志松本のすべらない話」で、井上さんが合コンに付いて来て困ったネタを披露して、話題になったことも。

 ただ近年は体調が思わしくなく、酸素ボンベを持って劇場に現れる姿があった。14年秋には一時舞台を休演。昨年2月に1週間、新喜劇に出演したのを最後に、持病などのため療養していた。入退院が続く中、昨年12月2日に、大阪市内で上演された吉本新喜劇のファン感謝イベントに出演したのが、最後の公の場となった。

 最近も病室で、深刻な様子などはなかったといい、亡くなる前日の4日も家族と病室でテレビを見ながら談笑、「また明日」と別れたが、深夜に体調が急変した。また、ふらりと戻って来そうだった竜じいは、「三途の川」のギャグをおしまいにして永い眠りについた。

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