埼玉県東松山市の河川敷で井上翼さん（１６）の遺体が砂利に埋まった状態で見つかった事件で、埼玉県警は２５日、殺人容疑で東松山市の無職少年（１６）を逮捕した。井上さんが死亡した経緯などについて捜査を本格化させる。少年は「うそをついたり電話やメールを無視したりしたから殺した」と供述し、容疑を認めている。逮捕容疑は２２日ごろ、東松山市下唐子の都幾川河川敷で井上さんを殺害した疑い。

　県警によると、少年は取り調べに対して「うそをついたり電話やメールを無視したりしたから殺した」と供述。落ち着いた様子で取り調べに応じているという。井上さんとは交友関係にあったとみられる。

　逮捕容疑は２２日ごろ、東松山市下唐子の都幾川河川敷で井上さんを殺害した疑い。少年は２４日午前１時４５分ごろ、父親と一緒に東松山署に出頭。任意の事情聴取に「暴行した」と事件への関与を認めていた。

　また、殺人容疑で新たに少年４人の逮捕状を請求したことが捜査関係者への取材で分かった。

　井上さんの死因は溺死で、致命傷となるような目立った外傷はなかった。２３日朝、河川敷の砂利に下半身全体と上半身左側が埋まった状態で発見され、衣服は身につけていなかった。殺害された可能性が高い２２日は、台風の雨で川が増水し、河川敷は水没していたとみられる。

　捜査関係者によると、県警は少年十数人を事情聴取し「井上さんが暴行されるのを見た」などの証言があったため、遺体の状況や死亡の経緯を詳しく調べている。

　逮捕された少年は中学卒業後、格好が派手になり、近所をバイクで走る姿も。赤い服に身を包み十数人で公園や祭りに姿を見せる地元の少年グループに参加していた。

　井上さんは県立高を１年生だった昨年１１月に中退し、アルバイトをしていた。最近は知人宅を泊まり歩く生活で、同県吉見町の実家を空けることも多かった。井上さんが最後に家族と会ったのは事件の約１週間前。事件現場に近いコンビニを経営する男性は８月になってよく来店していた井上さんの様子を「電話で誰かの指示を受けて商品を選んでいることも多かった」と振り返った。