TOTO、悲劇乗り越え日本ツアー

 TOTOのスティーヴ・ルカサー(左)とジョセフ・ウィリアムス=パシフィコ横浜(撮影・土居政則)
 インタビューに答えるTOTOのスティーヴ・ルカサー
2枚

 「アフリカ」「ロザーナ」「99」などの大ヒットで知られる米ロックバンド、TOTOが9年ぶりのニューアルバム「TOTO XIV~聖剣の絆」を引っさげ、3日から2年ぶりの日本ツアーを行っている。公演の合間を縫ってギター、ボーカルのスティーブ・ルカサー(58)が本紙の取材に応じ、日本ツアーや、筋萎縮生側索硬化症(ALS)のため昨年3月15日に死去したベースのマイク・ポーカロさん(享年59)への思いを語った。

 4日のパシフィコ横浜公演では1曲目から観客総立ちの中、2時間以上にわたって圧巻のステージを展開した。2008~10年の短い解散期間を経た「新章」TOTOは絶好調だ。ルカサーも「年を取ってくると価値観も変わって、昔は早弾きすりゃいいと思ってたけど今は違う」と言いつつも、達人ギタリストぶりを存分に見せつけていた。

 08年、TOTOはボズ・スキャッグスとの日本ツアーを行ったが、ルカサーは「07年には実質的な解散状態にあった。僕は事実上、脱退していた。母が亡くなるなどプライベートでもいろいろな問題があり、精神的に不安定で良くない状態だった」と明かす。

 マイクさんとその家族を支援するため、10年に再結成した。「1回だけツアーをやろうと思っていたのが、あまりにも成功したので、もったいないと元のメンバーを集めて一からやり直した。年は取ったけど、気持ちは若くなった。(解散の原因だった)全てのことがクリアになって、精神を集中できて、プレーが良くなって、一丸となってやれている。今、バンドはすごくいい状態だ」と自信を漂わせる。

 ライブは多くの代表曲の一方で、新作からが6曲と全体のほぼ3分の1を占めるアグレッシブなセットリストになっている。ルカサーは「当然、絶対に外せない曲もあるけど、いつも同じ曲ばかりやっていると新鮮味が不足するし、新作は会心の出来なんだ。世界中での反応もいい。バンドのためにもファンのためにも新鮮さを保ちたい」と説明した。

 「日本は古き良き友人で、ずっと特別な関係なんだ」というTOTOは7日に日本武道館公演を行い、その後も9日・Zepp FUKUOKA、10日・広島上野学園ホール、14日・大阪フェスティバルホール、15日・名古屋市公会堂とツアーを続ける。

 グループは快調だが、昨年、高校時代からの仲間で82年からTOTOに参加したマイクさんが、8年間の闘病の末に死去する悲劇もあった。

 「こんなに悲しいことはない。心の中でマイクは生き続けているし、今もこの辺り(と周囲の空間を指す)にいるのは分かっているけど。人が亡くなるのは人生において仕方がないことだけど。マイクのためにTOTOをまた始めたのは正しかったと思う。みんなの絆が強まったし、音楽をやることが癒やしになったのは間違いない。誰しも永遠には生きられない。彼の死に直面したことで生きていることのありがたみを認識したし、人生をより客観的にとらえられた。僕自身、この2~3年で32人も親しい人が亡くなったんだ。人の死にこれだけ直面すると、人命はもろいからこそ、今この瞬間を大切にしようという思いが強まった」

 バンドは2018年の40周年に備え、自伝などの記念企画を準備している。先日はジャズフェスで85歳の巨匠クインシー・ジョーンズと一緒になり、刺激を受けたという。

 大きな悲劇を乗り越え、TOTOはまだまだ走り続ける。

関連ニュース

編集者のオススメ記事

芸能最新ニュース

もっとみる

    主要ニュース

    ランキング(芸能)

    話題の写真ランキング

    デイリーおすすめアイテム

    写真

    リアルタイムランキング

    注目トピックス