平本「3平対決」制し補欠から初Vだ
「カシオ・ワールドオープン・第3日」(29日、Kochi黒潮CC=パー72)
今大会、補欠からの繰り上がりで出場権を得た平本穏(やすき、28)=アイディオー=が5バーディー、1ボギーの68で回り、通算11アンダーで、ツアー2勝の小平智(25)=Admiral、今季下部ツアー賞金王の今平周吾(22)=フリー=と並び首位に浮上した。プロ8年目の苦労人が悲願のツアー初優勝の好機を迎えた。3位から出た賞金ランクトップの小田孔明(36)=フリー=は74と崩れ、通算6アンダーの18位と失速。石川遼(23)=CASIO=も73とスコアを落として37位に後退した。
「かくれる」と度々、名前を読み間違えられる平本「穏(やすき)」が大舞台で堂々の主役に姿を現した。3日連続の60台で首位に浮上。初の最終日最終組に入り、プロ初優勝に王手をかけた。
大会前はどん底だった。21日まで行われた第3次予選会(QT)を通過できず、来季のツアー出場権獲得は絶望的に。傷心のまま地元広島に戻り、24日の夜は趣味の釣りに行ったが、ここでも1匹も釣れず、「ゴルフもダメ、魚は何も釣れない。どうなってるんだ」とさらに落ち込んだ。
今大会も補欠の下位で出場はほぼあきらめていたが、「ダメもと」で25日に現地に来て待機したところ、開幕前日の26日に欠場者が出て滑り込み出場。「神様からのチャンス」をゲットした。
苦い経験を生かす。10月のブリヂストンオープンでは3日目を3位で終え、優勝インタビューを“妄想”して最終日に臨んだものの、大きく崩れて35位に終わった。「妄想すると圧力がすごい。やめた方がいい」と気づいたため、今回は「泥くさく、へこたれず目の前の1打に集中」と妄想を封印して臨む。
最終組は全員、名前に「平」の付く「3平対決」。苦労人の28歳は“平”常心のプレーで人生を変えるチャンスをつかむ。