眼窩底骨折乗り越え新十両の芝改め紫雷「このまま終わりたくない」7年かけ幕下の壁突破

 新十両の芝改め紫雷(日本相撲協会提供)
 新十両の芝改め紫雷(日本相撲協会提供)
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 日本相撲協会は1日、来年初場所(1月9日初日、両国国技館)の番付編成会議を行い、新十両に芝改め紫雷(しでん、29)=木瀬、琴裕将(27)=佐渡ケ嶽、北の若(21)=八角=の昇進を決めた。

 リモート会見では「本当に長かった。すごいうれしいのかと思ったらまだ実感がない」と心境を語った。

 紫雷は東京都町田市出身。名門・埼玉栄高3年時、高校総体団体優勝を果たす。日大から木瀬部屋に入り2104年初土俵を踏んだ。同九州場所で幕下昇進。順調に出世した。だが丸7年、幕下の壁が突破できなかった。

 「毎年、後輩が入ってきては上がっていって、活躍していてすごいなあと思いながら過ごした。自分もそうなれて良かった。本当に悔しかった」と、かみしめた。

 日大1年でレギュラー入りも2年で補欠に回った。「完全に腐った。なあなあになって、そのままアマチュアが終わった」と言う過去の反省があった。辞めようと思ったことは1度もない。「次もないいし、ここで腐ったらどうしようもない」と今度こそ、絶対にあきらめなかった。

 昨年7月場所、場所前の稽古で眼窩底(がんかてい)を骨折し初めて全休した。「このまま終わると思った」と落ち込んだが、兄弟子で高校、大学の先輩でもある幕内英乃海(32)に救われた。

 「『付け人に付いてくれ』という連絡が来た。『ここで終わりたくないだろ』と言ってもらって、頑張りました」と奮起した。「最後、これでダメなら仕方がないと思った。このけがが一番大きい。全休したことで変わった。このまま終わりたくないという気持ち。頑張って稽古をした」と腹がくくれた。

 初場所番付発表の12月24日に30歳になる。「20代最後に関取」との目標を掲げきてきた。「ギリギリ。間に合っているで」と、笑みを浮かべた。

 本名から「紫雷」に改名。入門2年目の頃に九州の後援会の方から提案を受け6年も温めてきた名前をやっと名乗れる。紫電一閃(しでんいっせん)の四字熟語は鋭さを意味する。「お相撲さんらしい。とても気に入っている」とうなずいた。

 日大同期に十両大翔丸(追手風)、学生相撲出身では大関正代(時津風)も同い年。「大学、高校の同期、後輩は当たりたい」と、遅咲きの“三十路”がここから巻き返す。

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