大器・北の若 挫折乗り越え新十両「地味でも前に出て力強い相撲を」高校横綱など5冠

 新十両昇進を決めた北の若(日本相撲協会提供)
 新十両昇進を決めた北の若(日本相撲協会提供)
 新十両昇進を決めた北の若(日本相撲協会提供)
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 日本相撲協会は1日、来年初場所(1月9日初日、両国国技館)の番付編成会議を行い、北の若(21)=八角、琴裕将(27)=佐渡ケ嶽、芝改め紫雷(しでん、29)=木瀬=の新十両昇進を決めた。

 大器、北の若がようやく関取の座を手にした。「ほっとしました。やっと目指してきたところでありますし長かった感じはした。やっと来られたという感覚」とかみしめた。

 山形県酒田市出身。中学横綱に輝き、名門・埼玉栄高に進学。高校横綱を含め個人タイトル5冠を獲得と、エリート街道を歩んだ。十両王鵬(大嶽)、琴勝峰(佐渡ケ嶽)の1学年後輩となる。

 2019年春場所で初土俵を踏み、昨年初場所、順調に幕下昇進した。だが、そこから10場所、幕下の壁が破れなかった。秋場所も6戦全勝で迎えた七番相撲で敗戦し、あと一歩届かなかった。

 3年かからず、負け越しも3回。決して遅い出世ではないものの、本人は「入った時の小手先の相撲ではここまで来られていない。前に出たからここまで来られた」と言う。

 高校まで長い手足で上手を取れば負けなかった。プロ入り後もそれで通用すると考えいた。「深い上手を変化気味に取る相撲で勝っていたけど楽な相撲で勝てなくなった。癖が抜けずに苦労したけど何とかやるしかないという気持ちだけ」と、もがいた。

 昨年11月場所、西幕下9枚目でプロ初の負け越し。「情けない。今のままじゃダメ。悩むことが多くなった。幕下上位で通用しない」と、自分の相撲を向き合った。

 師匠・八角理事長(元横綱北勝海)から、口酸っぱく「前に出ろ。前に出ればまわしを取れるし、自分の形になる」と指導され、やっと素直に受け入れることができた。そこから「自分の相撲が変わった」と振り返る。

 四股、すり足、テッポウと一から基礎運動で鍛え直した。今年名古屋場所で一番相撲から4連勝し手応えがあった。今場所、七番相撲で十両旭秀鵬(友綱)を外掛けで倒し、大一番をもぎ取った。精神面も強くなった。

 壁を突破し、将来の大関、横綱候補があとは上を目指すのみ。「自分は華やかな相撲というか、おっと言わせる相撲は苦手かもしれないけど地味でもいいので、前に出て力強い相撲を、不器用なりにできたら」と玄人好みの正攻法が持ち味。

 端正なマスクで女性人気も期待できそう。「応援してくれる人たちに恩返しできるように少しずつでも上に行けたら。(番付も)行けるところまで行きたい」と意気込んだ。

 八角理事長は弟子の新十両昇進を受けて「新たに部屋から関取が誕生した事をうれしく思います。ここからが新しいスタートだということを意識して、日々の稽古に励み、立派な関取となれるよう頑張ってほしいという気持ちと同時に、より一層の自覚と責任を持ち、1人の人間としても成長していってほしい」とコメントした。

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