白鵬引退 記者をうならすほど日本文化勉強 伝説にあこがれ強くなり、築いた新たな伝説

 大相撲九州場所で優勝を決め、祝いのタイを手に笑顔の横綱白鵬。左は当時の宮城野親方=2009年11月28日、福岡県筑紫野市の宮城野部屋宿舎
 避難所で暮らす被災者の赤ちゃんを抱き上げ、キスをする白鵬=2011年4月9日、福島県・石川町の総合体育館
 上手投げで栃ノ心を下し、63連勝を達成=10年11月14 日、福岡国際センター
3枚

 大相撲の第69代横綱白鵬(36)=宮城野=の現役引退が27日、決まった。同日、師匠の宮城野親方(元前頭竹葉山)から引退届提出の意向が日本相撲協会に伝えられた。2019年9月にモンゴルから日本国籍に変更し、5月には年寄「間垣」を取得。30日の理事会を経て引退と年寄襲名が正式発表される見通しだ。

  ◇  ◇

 言動に賛否両論あるが、身近で取材した白鵬は日本人以上によく日本文化を勉強していた。そして、仕入れた知識を披露することが大好きだった。

 巡業先で囲まれると独演会で楽しませた。相撲のルーツがイスラエルにあり「はっけよいのこった」は、ヘブライ語で『やっつける・打ち倒す』の意味だとの一説を力説。記者をうならせた。

 幼少期にモンゴルを訪れた初代若乃花と対面。日本のお菓子をもらったという。来日後にそれが「うまい棒と分かった」と、うまいオチも必ず付けた。

 右腕の治療の際に行った検査で、何と日本人古来の遺伝子「M7」という型であることが判明。遠い祖先の頃から日本と縁があったとDNAが証明したことを本当に喜んでいた。

 数字へのこだわりも人一倍。大鵬を超える33度の優勝を果たしたのが2015年初場所。そこから誰も経験のない道を歩んできた。通算勝ち星、幕内勝ち星、横綱勝ち星…、偉大な先人たちを超えることは、達成感と同時に目標を失った瞬間でもあった。記者から新たな記録を知らされると、目を輝かせた。

 「大相撲は100年、1000年続くもの。若い者のために(記録を)伸ばしていかなきゃ。大きければ大きいほど若者は頑張る。私もそうだった」

 白鵬自身、双葉山、大鵬の映像、書物を繰り返し見て、伝説にあこがれ強くなった。この先1000年、相撲史の中で白鵬は君臨し続けるかもしれない。(デイリースポーツ大相撲キャップ・荒木 司)

関連ニュース

編集者のオススメ記事

スポーツ最新ニュース

もっとみる

    主要ニュース

    ランキング(スポーツ)

    話題の写真ランキング

    写真

    リアルタイムランキング

    注目トピックス