続く失言、欠く配慮 バッハ会長 日中混同「チャイニーズピープル」祭典に冷水

 東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の橋本聖子会長を表敬訪問し、部屋に入るIOCのバッハ会長=代表撮影
 東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の橋本聖子会長を表敬訪問するIOCのバッハ会長=代表撮影
2枚

 国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長(67)が13日、都内で東京五輪・パラリンピック組織委員会の橋本聖子会長(56)と面会した。23日の東京五輪開幕に向けて、8日に来日。3日間の隔離期間を終え、11日間の行動規制期間に突入。用務先を指定した形での活動は可能となったため、この日から本格的に始動した。コロナ禍で緊急事態宣言下での前代未聞の五輪。社会生活に制限を強いられる国民へ理解を求める必要がある中で、日本人を中国人と言い間違える痛恨のミスがあった。

 時差ぼけなのか、それとも胸の内の本音なのか。8日に来日して以降、初めて公の場に姿をみせたバッハ会長は、痛恨のミスを犯した。大会の根幹となる「安全安心」への言及の中、「我々は常日頃から万人にとって安心、安全な大会を目指しますと言ってきた。アスリートにとって、各国選手団にとって、そして最も大事なのはチャイニーズピープル(中国国民)」と言い間違え、慌てて「ジャパニーズピープル(日本国民)の安全です」と、即座に言い直した。

 東京五輪の半年後に北京冬季五輪を控える中国は、3月の電撃的なIOCへの中国製のワクチン無償提供などの経緯からも、バッハ会長との結びつきは強いとみられている。ただ、東京はコロナ禍で緊急事態宣言下での開催。これまでのコーツ調整委員長の「緊急事態宣言下でも五輪開催」や、最古参委員のディック・パウンド氏の「アルマゲドンが起きない限り、大会は進む」と日本側に配慮を欠く失言を続けてきたIOCの強行姿勢への反発は根強い。来日から1週間。隔離があったとはいえ、自身の滞在する5つ星ホテル周辺では開催反対デモもあった。日本の空気を感じなかったのか。発言は海外メディアも反応。英高級紙ガーディアンは「五輪のチーフが日本人と中国人を混同」と見出しで「IOC会長の失言がソーシャルメディアで反発を引き起こした」と、報じた。AP通信も「IOCのバッハがうっかり日本人を中国人と呼んだ」と速報した。

 開幕まで残り10日。カウントダウンが最終段階となる中で、国民への理解を求める大事な大事な局面で躓き、盛り上がりきらぬ祭典に冷や水を掛けた。

 IOCのトップは14日には菅義偉首相らと面会、国連の五輪休戦決議のスタートとなる16日には、広島への訪問が調整されている。最後にバッハ会長は日本語で号令をかけた。

 「ガンバリマショウ!」-。空虚に響いた。

関連ニュース

編集者のオススメ記事

スポーツ最新ニュース

もっとみる

    主要ニュース

    ランキング(スポーツ)

    話題の写真ランキング

    写真

    リアルタイムランキング

    注目トピックス