宇良、アクロバット星で弾み 8日目炎鵬戦「令和の業師対決」ついに実現
「大相撲春場所・7日目」(20日、両国国技館)
2度の右膝手術を乗り越えた人気業師の十両宇良(28)=木瀬=が矢後を寄り倒して2連勝で5勝目(2敗)を挙げた。土俵際、詰まりながら、足取りで逆襲。アクロバット力士が大いに沸かせた。8日目はついに、関取最小兵で1敗トップタイの炎鵬(26)=宮城野=と初激突。注目の「令和の業師対決」となる。
観客も度肝を抜かれた。俵に詰まった宇良が大きくしゃがみこみ、矢後の前から消えた。突きを外すと同時に相手の右足を取り、超低空の姿勢で土俵外に体ごと飛び込んだ。
土俵に両手を付き、大きく息を吐き安ど。「もう9割負けてたような勝負。いい流れではなかったけど、落ち着いて詰められた。本当、運が良かった。けがもあるので理想とはしないけど」と、あきらめない、これぞ宇良の真骨頂だった。
2度の右膝手術を乗り越え、昨年11月場所、16場所ぶりに関取復帰。先場所は10勝を挙げた。東十両7枚目に番付を上げた今場所は5勝目と勢いに乗る。
そして8日目、ファン待望の炎鵬戦が組まれた。長いリハビリに明け暮れる時、幕内土俵を沸かせる100キロに満たない小兵に宇良もくぎ付けだった。
「純粋にすごいと思って見ていた。周りから『悔しいんじゃないか』と言われることがあったけど全くない。炎鵬さんの方がすごい」と2歳下ながら“さん”付けで敬った。
奇手「居反(ぞ)り」などアクロバットな動きを得意とする自身と「タイプは全然違う」と言う。「勝っても負けても勉強になる。収穫があればと思う」と特別な一戦。平成の土俵では舞の海VS智ノ花の小兵対決が大いに沸かせたが、「令和の業師対決」がついに実現する。