女性ブタ演出案問題 森氏に続く舌禍に海外へ波紋 WSJ紙「五輪の不確実性を追加」

 東京五輪・パラリンピックの開閉会式の責任者であるクリエーティブディレクターの佐々木宏総合統括について、「文春オンライン」が17日、同氏が五輪開会式で女性タレントの渡辺直美さんの容姿を侮辱するような演出を提案していたを報じた問題で、佐々木氏は同日、大会組織委員会を通じて謝罪文を発表し、辞意を表明した。同件はすでに海外でも報じられており、影響が広がっている。

 米ウォール・ストリート・ジャーナル紙は「東京五輪関係者が女性にブタに扮する提案で辞任」と題し、「性差別的な発言による組織委会長の辞任に続き、大会4カ月前に不確実性を追加した」と、論じた。

 五輪を主に扱うウェブ通信社の「インサイド・ザ・ゲームズ」は「東京大会のセレモニーディレクターが女性コメディアンについての蔑称的提案で辞任」と題し、日本の報道を引用しつつ「佐々木氏の辞任は組織委にとって、新たな論争。森氏の性差別的な発言によるダメージから評判を回復しようとしている時期に」と、報じた。

 ブルームバーグ通信も「国民の支持が低いゲームへのもう一つの打撃」とし「最新のスキャンダルはすでに低い国民の支持に直面している主催者にとって、別の頭痛の種になるだろう」と指摘。AP通信も「性差別的な談話をめぐる別のスキャンダルに見舞われた東京五輪」とした。ロイター通信や、AFP通信なども問題を報じた。

 大会を巡っては、組織委の森喜朗前会長が2月に「女性が入る理事会は長い」などと女性蔑視ととられる発言で国内外から批判が集中し、引責辞任したばかり。コロナ禍で国民の開催への支持が低調な状況が続く中、25日からは聖火リレーがスタートする。機運醸成への正念場で、大会関係者の“舌禍”が再び大会に深刻なダメージを与える可能性がある。

 「文春オンライン」によると、佐々木氏は昨年3月、演出担当チームのメンバー宛に女性タレントの容姿をブタに例え、侮辱したととられる内容の演出プランを送信。メンバーからの批判を受けて、撤回されたという。

 謝罪文では報道内容について「昨年3月の私のLINEのグループラインの中において、オリンピック開会式のアイデアフラッシュを仲間うちでやり取りする中で、私のアイデア及び、発言内容に、非常に不適切な表現がありました。出演者の候補として名前が上がっていた渡辺直美さんに対する演出アイデアの中で、宇宙人と地球人の接点的な役柄で、オリンピックの使者的キャラということで、オリンピックの語尾をピッグという駄洒落にして、オリンピッグという名前のピンク色の衣装で、耳がぶたのはどうだろう、というような発案をしました。アイデアをLINE上で書き、みんなの意見を聞きましたが、すぐに、MIKIKOさんから『ピンとこない、』他のメンバーからは手厳しく『面白くない』『女性を豚に例えるなんてありえない』『一時的なアイデアだとしても、言うべきじゃない』などと、LINE上で、スタッフから非常に怒られ、私も、その場で、大変恥ずかしながら、スタッフからの率直な直言で目が覚めました。メンバー全員にLINE上で謝り、撤回しました。気づかせてくれたことに礼も言ったつもりです。私が調子に乗って出したアイデアです」と認めた上で「渡辺直美さんに対しては、大変な侮辱となる私の発案、発言となること。これは取り返しのつかないことです。心から反省して、ご本人、そして、このような内容でご不快になられた方々に、心からお詫び申し上げます」と、謝罪した。

 そして「文春さんから電話取材を受けた段階で、この私のLINE上での、大失言が表に出て、渡辺直美さんにも伝わるときが来たら、責任をとって辞表を出すべきと考えて来ました。あと数ヶ月に近づいたオリンピック・パラリンピック開閉会式を日々死にものぐるいで準備するメンバーにも、本当に申し訳ない気持ちです。先程、橋本会長には、夜分ではありますが、お電話で、私の辞意をお伝えしました。あらためて、辞表を書かせて頂き、お届けするつもりです」と、辞任する意向を表明した。

 佐々木氏は当初、開閉会式の演出チーム内でパラリンピックの演出統括を務めていたが、新型コロナウイルスの感染拡大による大会簡素化で、昨年12月、狂言師の野村萬斎さんに代わり、総合統括に就任。これにともない萬斎さんらの演出チームは解散した。

 組織委の高谷正哲スポークスパーソン(SP)は、現在事実確認中とし「事実だとすれば不適切であり、大変遺憾」と話し、18日に橋本聖子会長が会見する。

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