“角界のマツコ”宝富士、6連勝でトップタイ「ビックリ」 家族愛パワーで狙う平幕V
「大相撲11月場所・9日目」(16日、両国国技館)
“角界のマツコ・デラックス”幕内の宝富士が隠岐の海を土俵際の突き落としで逆転し、6連勝で1敗を守り、トップタイに並んだ。9日目で勝ち越しは2013年初場所以来7年ぶり自己最速タイ。33歳、愛妻&愛息パワーで初Vチャンスをつかむ。結びで“一人大関”の貴景勝が翔猿にはたき込まれ、初日からの連勝が8で止まった。トップは貴景勝、平幕の宝富士、志摩ノ海の3人。1差の2敗で小結照ノ富士、平幕竜電、千代の国が続く。
宝富士はあきらめない。左四つで先にまわしを取られ、苦しい体勢でジワジワ追い詰められた。俵に詰まった土俵際、ここで狙っていた。こん身の突き落としが見事にさく裂。1分7秒8の我慢の末、執念星をもぎ取った。
インタビュー室で「粘ってあきらめず頑張りました」と、ほっと安ど。7年ぶり自己最速タイの勝ち越しに「自分でもビックリ」と声を弾ませた。
好調の要因は場所前、弟弟子・照ノ富士との熱闘だ。先場所後、ほぼ1カ月、連日、三番稽古(同じ相手と続けて何番も取る)を繰り返した。7月場所で復活優勝した元大関の圧力を浴び続けた。「緊張感がある。内容が濃い」と稽古量はうそをつかない。
心の充実は家族愛だ。2歳長男・慶丞(けいのすけ)くんは帰宅すると「お帰り~」と笑顔で出迎え、抱っこをせがんでくる。体重16キロの大きな愛息を抱き、「車のアニメとかおもちゃで遊ぶ」のが癒やしの時間だ。
愛息は宝富士の取組も毎日テレビで観戦。「勝ったらヤッターと言っている」と英莉乃夫人から聞いた。「まずは8ヤッター」と第一目標は達成。「次は10ヤッター。14ヤッター?いけたらすごいけど」と、両手で愛息と優勝賜杯を抱くチャンスは十分にある。
33歳、衰え知らずの肉体は愛妻のおかげ。食卓には「毎日、肉と魚と野菜、ご飯は十六穀米」とバランスよく並ぶ。何より「愛情を感じるのが一番大きい」とアツアツだ。
貴景勝が敗れトップ1敗に並んだ。「集中して頑張りたい」とキッパリ。徳勝龍、照ノ富士に続く今年3度目の平幕優勝を目指す。





