池江璃花子のツイートから献血状況改善 日本赤十字社は「予約」での協力呼びかけ

 新型コロナウイルスの影響は献血にも出ている。日本赤十字社によると、2月23日から29日の期間では「献血血液(赤血球)」が、必要とされる量の90.6%しか確保できないという状況だった。しかし、白血病からの復帰を目指す競泳の池江璃花子が窮状を訴えたところ、現状が広く知られるようになった。

 池江は、自身のツイッターで献血を呼びかける文章を投稿し、反響を集めた。日本赤十字社の血液事業本部経営企画部次長の瀧川正弘は、デイリースポーツの電話取材に、池江の投稿があった5日から、「(状況が)非常に好転しております」とした上で、感謝の言葉を述べた。

 「池江さんに関しては、ご自身の実体験ですので、これほどインパクトを与えることはないのだろうと我々は感じておりますので、その影響は非常に大きいですし、他のタレントさんにも拡散をされて、いろんな方々が献血にご来場されて、ツイッター等で拡散をしていただけるというのは、まず外部の方のきっかけは池江さんなしには語れないと思っています」

 瀧川氏によると、「(計画比で)大体、140%から150%ぐらいのご協力をいただきまして」と、血液確保量が回復してきているのだという。

 ただ、収束の見込みが立たない新型コロナウイルスの影響は依然として大きい。献血は主に、献血ルームに来てもらってのものと、出張する形で行われるバスでのものがあるが、瀧川氏によると、およそ「45:55」で、バスの方の比率が高いのだという。しかし、その献血バスの受け入れをキャンセルする動きが続いていることや、新学期にあわせて訪問することが多い大学での献血も中止を求められることが増えているとして、瀧川氏は「われわれもその辺を危惧しております」と頭を悩ませている。

 手術で用いられる赤血球製剤の場合、21日間しか保存ができず、日本赤十字社としては、採血後10日目前後の血液を運用している。現状「3月いっぱいぐらいまでは、このまま安定的に供給していける」(瀧川氏)ものの、一時的に血液の確保量が増えたとしても、偏りがあるとすぐに不足する事態になりかねない。

 そのため、瀧川氏は献血時の予約を呼びかけている。継続的・計画的な運用につなげること、「一度にたくさんの方にご来場いただくというのは、ある意味、(感染症の)リスクは高いので、ある程度、空間的な余裕をもった形で献血のお願いをしたい」(瀧川氏)という観点、さらに待ち時間の軽減といった理由から重要なのだという。

 新型コロナウイルスについての考え方としては

(1)海外から帰国(入国)後、4週間経過していない方

(2)発熱や咳、呼吸困難などの呼吸器症状のある方

(3)新型コロナウイルス感染症(または感染疑い)と診断された方と、4週間以内に濃厚な接触があった方

(4)新型コロナウイルス感染症(または感染疑い)と診断された方

の4つの条件のいずれかに該当する人は、献血を遠慮するよう求めている。また、献血後、4週間以内に新型コロナウイルスの感染が診断された場合、献血した日と名前、生年月日を連絡するよう伝えている。

 瀧川氏は、この4条件を踏まえて「ご本人の体調が少しでもすぐれないようであれば、機会をいったんずらしていただいて」と、献血を希望する人自身の体調を第一に考えるよう呼びかけていた。

 ◆献血した血液中にウイルスが入っていた場合の考え方やチェックについて。

 ~上記について質問したところ、日本赤十字社は以下のように回答した。

「献血された血液中にウイルスが入っていれば、その血液を輸血された患者が感染する理論的可能性があります。しかしながら、新型コロナウイルスの輸血による感染は確認されておらず、また、同じコロナウイルス感染症であるSARSやMERS、あるいはインフルエンザなどの呼吸器感染症を起こすウイルスが輸血によって患者に伝播した例は世界で一例も報告されていません。これらのことから、現在はウイルスの検査は行っておりません。また、献血血液についてウイルスを検査するのに適したシステムは世界でもまだ開発されておりません」

 「日本赤十字社では、献血前の問診で感染の可能性のある献血者には辞退いただくとともに、献血後に連絡をいただいた血液は、まだ患者に輸血されていなければ回収し、輸血用血液製剤としては使用しないこととしています」

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