羽生結弦「すごく緊張」も完璧リハ 夢つかんだ“両翼”で新たな伝説へ

 「フィギュアスケート・四大陸選手権」(6日開幕、ソウル)

 公式練習が5日、会場の木洞アイスリンクで行われた。ソチ、平昌五輪王者で、3年ぶり出場で大会初優勝を目指す羽生結弦(25)=ANA=は「バラード第1番」の曲をかけた練習で完璧な演技を披露した。競技会場で演じるのは、平昌五輪以来約2年ぶり。ルール改正前の世界最高得点を残した「伝説」のプログラムとともに、新たな伝説を築く。

 「すごく緊張しました」。練習後、羽生はそう振り返ったが、氷上で舞う姿はどこか楽しそうにも映った。

 競技会場で2年ぶりに演じたSP「バラード第1番」。冒頭の4回転サルコー、4回転-3回転の連続トーループ、トリプルアクセル(3回転半)と、全てのジャンプを着氷したのはもちろん、スピンもステップも、羽生自身の息づかいも、全てが音楽とぴたりとマッチする、芸術作品そのものだった。息をのんで見つめる会場全体の雰囲気も、まるで五輪へタイムスリップしたかのよう。ありのままの羽生結弦が、ソウルの銀盤を支配した。

 そもそも、今季演じていたSP「秋によせて」とフリー「Origin」は羽生が幼少に憧れたウィアー氏、プルシェンコ氏の伝説の演目。平昌五輪後の羽生は「背中を追う少年」の気持ちでそれらを演じると決めたが、彼らは羽生にとって偉大な存在だ。どれだけ追いかけても、憧れの背中はさらに先へと行ってしまった。「やっぱり、自分の演技として完成できないと思ってしまいました」。胸中は複雑だった。

 そんなさなかの19年12月。GPファイナルでチェン(米国)に、全日本選手権で宇野昌磨(トヨタ自動車)に敗戦。全日本選手権翌日のエキシビション「メダリスト・オン・アイス」で、平昌五輪でも演じた「SEIMEI」を披露したとき、不思議な感覚が心を支配したという。

 「カバー曲とオリジナル曲じゃないですけれど、そのぐらいの違いを自分の中ですごく感じた」と羽生。「ものすごく自分でいられるなって。もう少しだけこの子たちの力を借りてもいいかなと思いました」。失意にくれる羽生を支えたのは、数々の激戦を一緒に乗り越えてきた「SEIMEI」だった。

 再び戦いを共にする“両翼”に対し「本当は、伝説として語り継がれるような記録を持ってしまっている子たちなので、できれば寝かせてあげたかったんですけど」と、父が子を気遣うかのような、優しいまなざしで語った羽生。同時に、そこには強い決意がにじむ。「伝説」を汚すわけにはいかない。夢をつかんだ韓国の地で、羽生は再び羽ばたく。

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