羽生結弦「もっとできた」圧巻!首位発進も王者のプライド フリーで完璧演技魅せる

 「フィギュアスケート・NHK杯」(22日、真駒内セキスイハイムアイスアリーナ)

 男子ショートプログラム(SP)が行われ、ソチ、平昌五輪王者の羽生結弦(24)=ANA=が109・34点で首位発進した。10月のGP第2戦、スケートカナダで出した今季の世界最高得点109・60点にはわずかに届かなかった。女子SPは昨年女王の紀平梨花(17)=関大KFSC=が79・89点で2位発進した。首位は85・04点をマークしたアリョーナ・コストルナヤ(16)=ロシア。完璧な演技で紀平の持つ世界最高を1・07点更新した。

 ピアノの音色が静まるよりも先に、大歓声が羽生を包んだ。旋律に乗せた冒頭の4回転サルコー、流れるようなトリプルアクセル。4回転-3回転の連続トーループはわずかに詰まりながらも、意地で着氷させた。完璧に近い演技を終えると、解き放たれたような表情で、あふれる拍手を全身で感じた。

 自身が持つ今季最高点までわずか0・26点及ばず「正直ちょっと悔しいけど、まずはホッとした。及第点。でも、でき自体は完璧からはほど遠い。もっとできたという感覚はものすごくある」と羽生。母国日本の声援に「すごい緊張した」としながらも「緊張とともに滑れることはなかなかない。1つ1つしっかり感じながら滑れた」。自身を包む空気をしっかりと心で受け止め、かみしめた。

 10月のスケートカナダで残したのが109・60点。築いた高い壁は「もちろんプレッシャー」だ。この日も「そこそこ頑張ったかなって思ったけど、点数が出て『シーズンベストじゃないんだ』って」と苦笑いだった。

 それでも「もっとって思える材料。かせではなく糧にしたい」。全てを自身の力に変え、羽生は前を向く。

 この日は、ジスラン・ブリアン・コーチの57歳の誕生日。自身に寄り添ってくれるコーチへ、朝、羽生自身が誕生日プレゼントを贈ったという。中身は「秘密だよ」と話したブリアン・コーチだが、最高の演技も同じく「素晴らしいプレゼントだ」と満面の笑み。大切な1日をまな弟子が鮮やかに彩った。

 周囲から向けられる世界最高点更新への期待はもちろん、羽生自身が誰よりも感じている。しかし「自分にとって今は意識するものではない」と言い聞かせるように話した。大切なのは自分自身と向き合い、自分自身を超えること。「気持ちよく最後まで滑れるように準備していきたい」。羽生自身が納得する演技を残せたとき、新たな伝説は刻まれる。

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