後輩に暴力の立呼び出し拓郎 2場所出場停止処分の上で退職届受理

立呼び出しの拓郎
2枚

 日本相撲協会は25日、都内で臨時理事会を開き、呼び出し最高位にある立呼び出しの拓郎(63)=春日野=が秋巡業中、後輩呼び出し2人に暴力を振るった問題を協議し、出場停止2場所の懲戒処分を決め、本人に通知した。その上で本人の意向をくみ、退職願を同日付で受理した。

 暴力事案発覚後、拓郎は退職の意向を示したが、協会は保留していた。協会のコンプライアンス委員会(青沼隆之委員長=元名古屋高検検事長)が調査し、処分意見などを八角理事長(元横綱北勝海)に答申した。

 同委員会は「拓郎の行為が指導の一環だったとしても暴力を振るうことは厳しく禁じられており、協会を挙げて暴力禁止に取り組んでいるさなかに呼び出し最高位にあって他の者の模範となるべき立呼び出しが暴力を振るった点で責任は重大である」と指摘した。

 他方、「拓郎が深く反省し、被害者両名に謝罪した上、自ら退職を表明したことなどを考慮し出場停止2場所の懲戒処分が妥当」との意見を答申した。

 拓郎は8日に新潟県糸魚川市で行われた秋巡業で客席に座り食事をしていた序二段格の呼び出しを「こんなところで食事をするな。お客さんが座るところだろ」と注意し拳で頭部を1度殴った。さらに幕下格付け出しにも「お前、兄弟子なんだから、ちゃんと見てやらんかい」と指導するよう命じ、背中を1度たたいた。両者にケガはなかった。

 巡業部長であり、師匠である春日野親方(元関脇栃乃和歌)に対する処分はなし。芝田山広報部長(元横綱大乃国)は「注意喚起はしていた。突発的なこと」と説明し、責任は問われなかった。

 理事会では「気の毒だ」など同情する声も上がったが、呼び出しの最高位であることが重く位置づけられた。先日は元十両貴ノ富士が付け人への2度目の暴行で引退。相次いだ不祥事に“情状酌量”の余地はなかった。芝田山部長は「私たちもしのびないが、ルールはルール。責任ある立場なら仕方がない」と話した。

 協会では先日、元貴ノ富士、拓郎と暴行事案が続いたことから、理事会では再発防止について審議し、コンプライアンス委員会に再発防止の強化策を委嘱することを決めた。年内に改めて理事会を開催し強化策をとりまとめる方針だ。

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