白鵬V42…全勝で平成最後の場所締めるも右腕を負傷 来場所へ暗雲か

 鶴竜(手前)を下手投げで破り全勝優勝を決めた白鵬
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 「大相撲春場所・千秋楽」(24日、エディオンアリーナ大阪)

 横綱白鵬は、横綱鶴竜との結びの一番を下手投げで制し、ともに自身の最多記録を更新する15度目の全勝、42度目の優勝を果たした。初優勝から14年連続Vも最長記録を塗り替えた。また、全勝優勝を2015年から5年連続で達成し、史上最長となった。平成最後の場所を記録ずくめで終えた大横綱は、場内インタビューで観客と三本締めを行うなど、らしさ全開で締めくくった。

 平成最後の賜杯を抱いたのはやはり“平成の大横綱”だ。白鵬はがっぷり四つの横綱対決を制し42度目の優勝を全勝で決めた。場内では「平成最後なので三本で締めたいと思います。大相撲の発展と皆さんの健康を祈念して、ヨーッ」とナニワの観客と異例の三本締めを敢行。支度部屋では観戦に訪れたサッカーJ1神戸のポドルスキらと万歳三唱を行うなど、カリスマらしさ全開で締めくくった。

 ただ、息をのむような死闘の代償は大きく、右腕を負傷した。支度部屋に戻ると「切れたねえ…」とつぶやき、右腕を押さえて「あ~っ!」と声を上げて苦悶(くもん)の表情。表彰式で賜杯を受け取る際も左手しか使えず、補助してもらう異常事態。「最後に投げを打ったときに痛めた」と脂汗を浮かべた。

 満身創痍(そうい)の横綱の背中を押したのは、節目への強いこだわりと「平成」という時代への並々ならぬ思い入れだ。2000(平成12)年に入門した白鵬は最多優勝を更新するなど栄華を極めた一方、角界は激動の時代だった。忘れられないのは野球賭博問題に揺れた10年名古屋場所。優勝したものの賜杯を受け取れず落胆したが、天皇陛下から激励の書簡が届いた。「私は平成に育ててもらった。数々の問題があったが、陛下から手紙をもらったのが思い出」。師匠の宮城野親方も「陛下の言葉が心に響いて、励みになっている」とうなずく。

 来場所からは新元号となる。「(新元号)最初の場所は強い思い入れがある」と話しているが、右腕の状態次第では暗雲が漂う。ただ、目標にしている来夏の東京五輪を現役で迎えれば、千代の富士が持つ横綱での最年長優勝記録35歳5カ月を更新するチャンスもある。「この1年が大事。けがなくいけば結果はついてくる」。激動の平成を駆け抜けた不屈の闘志を再び燃やし、大横綱は新時代でももう一暴れする。

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