高橋大輔2位も…世界選手権は辞退「きょうのフリーでは戦えない」 引退は否定

 高得点をマークした高橋にスタンドからは多くの花束が投げ込まれた
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 「フィギュアスケート・全日本選手権」(24日、東和薬品ラクタブドーム)

 男子フリーを行い、今季現役復帰したショートプログラム(SP)2位の高橋大輔(32)=関大KFSC=はフリー4位の151・10点で、合計239・62点となり2位に入った。高橋は男女各3人の世界選手権(来年3月、さいたま)の代表入りを辞退した。

 いかにも「高橋大輔」らしい決断だった。「気持ちとしては行きたかったけど、世界と戦う覚悟が持ちきれなかった」。今年7月に現役復帰を宣言してから「全日本選手権の最終グループ6人」を目標に掲げてきた。「想像できなかった」という銀メダルとともに得た世界選手権代表の座。しかし、6年ぶりの表彰台から下りると、辞退を表明した。

 今の自分の力を思い知らされた。フリーのフィニッシュの瞬間、見せたのは過去2戦ではなかった悔しげな表情。練習で何度も成功していた冒頭の4回転トーループは3回転になり「4回転だけならよかったけど、まさかフリップで手をついたりルッツでパンクしたり」と、これまでなかったミスが相次いだ。

 「緊張感に勝てるところまでやりきれなかった。高い緊張感の中でやる練習量が足りなかった」と言うとおり、復帰ロードはいばらの道だった。半年間はケガとの“共存”。元々右膝に古傷を抱え、練習を再開した直後に左足内転筋の肉離れを発症。夏場にはぎっくり腰にも見舞われた。4回転の練習を開始すると、転倒の衝撃でむち打ちも発症。3日間も氷に乗れなかった。

 中学2年から指導を続ける長光歌子コーチが予選中に「予想がつかないことが起きる。手探りで進んでいる」と話していたほど紆余(うよ)曲折の日々。だからこそ、日本男子として初めて五輪表彰台に立った男は「今できる精いっぱいがこれかな」と認めつつ「今日のフリーでは世界と戦えない」と判断した。

 右膝の故障で辞退した2014年ソチ五輪後の世界選手権も今回と同じ埼玉だった。雪辱の舞台をあえて返上するのは「若手が世界選手権で経験を積むことで日本を引っぱっていってほしい」という思いもある。そして、その若い選手たちが、自らの競技への思いをさらに燃え立たせた。

 来年以降の競技生活については白紙を強調しながら「引退するつもりはない」と明言。目指してきた全日本で味わった「逃げ出したかった」というほどの緊張感は忘れられない。「今日の演技がすごく悔しくてすっきり終われない」。手探りで進む32歳の冒険は、まだまだ続きそうだ。

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