体操・塚原夫妻のパワハラ認定されず 体操協会は一時職務停止を解除で復職へ

臨時理事会の結果を報告する日本体操協会の山本宜史専務理事=東京都渋谷区の日本体操協会(撮影・出月俊成)
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 日本体操協会は10日、都内で臨時理事会を開き、体操女子リオデジャネイロ五輪代表の宮川紗江(19)=高須クリニック=を巡る塚原光男副会長(70)、千恵子女子強化本部長(71)のパワーハラスメント(パワハラ)問題に関する第三者委員会の調査結果を発表した。第三者委員会は、夫妻による宮川へのパワハラを認定しなかった。これを受け日本体操協会は塚原夫妻の一時職務停止を解き、復職するとした。

 調査報告書によると、千恵子女子強化本部長による、宮川と速見佑斗コーチの引き離し行為の有無については、「引き離し行為は認められない」とされた。また、今年7月15日にあったとされた塚原夫妻による宮川へのパワハラに該当する事実の有無については「宮川選手との行為状況・行為様態・行為内容は配慮に欠け不適切な点が多々あった」としつつも、「悪性度の高い否定的な評価に値する行為であるとまでは客観的に評価できない」と、事実上パワハラとまでは言えないと評価された。

 パワハラと認定されなかったとはいえ「不適切な点が多々あった」などと指摘されたことについて、協会の山本宜史専務理事は「指摘を受け止めて対応すること」、「(宮川への)謝罪も踏まえて条件になる」と説明。塚原夫妻側も、一定の非を認めて宮川側に謝罪することが復職のために必要になるとした。

 第三者委はパワハラを「同じ組織で競技活動をする者に対して、職務上の地位や人間関係などの組織内の優位性を背景に、指導の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与え、又はその競技活動の環境を悪化させる行為」を「一応の前提」とした上で、「違法性を帯びるものや、各組織・団体において懲戒や懲罰の対象ともなり得るような、悪性度の高い否定的な評価に値する程度のもの」という概念を前提として認定したとしている。「社会通念に照らして客観的見地から見て、通常人が許容し得る範囲を著しく超えるもの」とも説明されている。

 宮川側は、宮川に暴力を振るった速見元コーチの無期限登録抹消処分について「重すぎる」とし、その裏に夫妻が運営する朝日生命への引き抜きの目的があったと主張。これまで宮川が中学3年時、昨年の世界選手権、先月8月の合宿と、最低でも3度あったことを明かしていた。また、16年11月から始まった「2020東京五輪特別強化選手」に申し込まなかったため、千恵子氏から「五輪に行けなくなるわよ」と言われたことや、NTCの利用制限や、海外派遣をゼロにされるなど圧力を受けたことを主張していた。一方で塚原夫妻側は、宮川側の主張を否定していた。

 問題は社会問題化し、日本協会は9月にパワハラ問題を調査する第三者委員会(岩井重一委員長)を立ち上げ、塚原夫妻を一時的に職務停止としていた。

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