紀平梨花 真央に憧れトリプルアクセルで切り開いた未来…3回転半物語、新章へ

 「フィギュアスケート・NHK杯」(10日、広島県立総合体育館)

 女子フリーが行われ、GPデビュー戦でSP5位の紀平梨花(16)=関大KFSC=は、SPで転倒したトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)を2度組み込む構成を完ぺきに遂行し、フリーで今季世界2位となる154・72点をマーク。総得点も世界2位の224・31点で、男女通じて日本勢初となるGP初出場初優勝を飾った。

 この3回転半の大技には、やはり人々を惹きつけるロマンがある。紀平が冒頭からトリプルアクセル-3回転トーループの連続ジャンプ、そして単発のトリプルアクセルを完ぺきに決めると、観衆は一気に銀盤の世界へと引き込まれた。演技が終わる前から始まったスタンディングオーベション。渾身(こんしん)の4分間を終えフィニッシュすると、16歳は思わず両拳を握った。「ガッツポーズせずにはいられなかった」-。

 トリプルアクセルを武器に、世界の頂点へと駆け上がった浅田真央さんに憧れて、幼い頃からこの大技の習得に励んだ。14歳で史上7人目の成功者となってからも、精度を上げるために懸命に取り組んできた。

 SPではまさかの転倒。朝の練習では、計16度跳んで確認した。動画で過去のよかったジャンプと何度も何度も比較しながら、早くなっていたタイミングを修正した。仮に着地が決められそうでも、踏み切りが悪いと感じればわざと転倒した。「このジャンプはダメ!ということを体に染みこませた」。身を削りながら磨き上げた宝刀が、最高の輝きを放った。

 フリー、総得点とも世界2位の得点で、すでに世界の頂点が狙えるポテンシャルを秘めていることを示してみせた。次戦はフランス杯(23日開幕・グルノーブル)。GPファイナル(12月6日開幕・カナダ、バンクーバー)進出、そして日本では真央以来のGPファイナル初出場初優勝の期待も膨らむ。「さらに上を目指したい」。伊藤みどり、浅田真央、そして紀平梨花へ。見る者を惹きつけて止まない3回転半を巡るシンデレラストーリーが、新章に突入した。

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