平昌五輪フィギュアスケート男子で６６年ぶりの連覇を達成した羽生結弦（２３）＝ＡＮＡ＝の祝賀パレードが２２日、地元の仙台市で開催された。国内のみならず世界各地から訪れたファンら１０万８０００人（主催者発表）が沿道を埋め尽くす“羽生フィーバー”に、仙台の町は熱気むんむん。警備等のスタッフも１８００人を動員した。羽生は故郷に笑顔で「ただいま」と告げた。

　杜の都がいつにない盛り上がりを見せた。仙台のローカル放送局が生中継した影響などもあり、最大予想の１２万人には届かなかったものの、ソチ五輪後の９万２０００人を上回る１０万８０００人が羽生のために集結。国内のみならず世界各地から集まったファンが声援を送った。

　「『ありがとう』と言える場を作っていただき、ありがとうございます」と羽生。「２連覇して、金メダルを持ってこの仙台に『ただいま』と言えて本当にうれしい。いま見える風景、応援してくださる気持ちや声を胸に刻んで、これからも生きていきたい」。全ての思いを受け止め、今後も走り続けると、古里の地に誓った。

　四方八方から降り注ぐ声援に、終始笑顔で手を振って応えた。途中、「ポーズして」のうちわを見つけると、平昌五輪でも演じたフリー「ＳＥＩＭＥＩ」のポーズを見せる場面も。「近くの方には声や目線が届くけど、通りの奥から手を振ってくれる方もいた。遠くで見ている方にも届けばいいなって思って」。全ての人に感謝の思いを届けたかった。

　街は熱狂に包まれた。警備員やボランティア、県や市の職員ら、ソチ時の３割増しの１８００人が対応。実行委員会としては安全面や道路の占拠を考慮し「遠慮をお願いした」というが、中にはホテルを確保できず、沿道で一夜を明かす“徹夜組”も出現した。気温は２４・３度。４月とは思えぬ気温と強い日差しも加わり、熱中症の疑いや転倒によるケガで６人が処置を受けた。それでもパレードを通じて大きなトラブルはなかったという。

　「あらためてこの仙台に帰って来たなって気持ちがすごくあったし、今回の金メダルの重みを感じた」と羽生。生まれ育った故郷で見せた笑顔は、金メダルに負けない輝きを放っていた。