張本智和に卓球協会が“教育的指導” 全日本決勝で握手前に父と抱擁
日本卓球協会は10日、都内で理事会を開催し、試合でのマナーについての確認事項が強化本部から報告された。これは宮崎義仁強化本部長が1月の全日本選手権後に各選手や所属に通達したもので、相手への敬意を示す試合前後の握手を徹底するほか、得点時のかけ声について「(1点のうちに)続けて何度も叫ばない」「相手を威圧するようなポーズは取らないようにする」などの注意が喚起された。
握手に関しては、一部の女子選手が指先だけで軽く手を合わせるだけの場面が散見されたことが発端となった。また、全日本選手権男子シングルス決勝で、張本智和(エリートアカデミー)が水谷隼(木下グループ)に勝利した際、喜びのあまり、相手と握手する前にコーチである父・宇さんと抱擁してしまった例があった。
そのため、試合後は(1)相手と握手
(2)審判と握手
(3)相手のコーチと握手
(4)自分のコーチと握手という順番の徹底を再確認。宮崎氏は「(勝ってうれしい)気持ちは分かるが、これが当然と思ってはいけない」と“教育的指導”の意図を説明した。
また、得点時のかけ声については認められているが、女子ダブルスなどで同じ言葉を連呼していた事例があり、宮崎氏は「“ヨー、ヨー、ヨー”など同じかけ声を連呼するのは卓球の気合とは言えない」との認識を示し、自粛を促した。
「チョレイ」でおなじみになった張本の雄たけびについては、「相手に向かってガッツポーズしているわけではない。自分を奮起させるかけ声はいい」と、あらためてOKサイン。ただ、張本自身は一部の否定的な意見を気にかけているらしく、宮崎氏は「本人も気にして、最近は『チョレイ』とは言ってなくて『チョー』とかに変わってきた」と明かした。
こうした異例のマナー通達の背景には卓球人気の高まりがある。今回配布した文書の前書きには「卓球はロンドン、リオデジャネイロ五輪で連続でメダルを獲得し、2020年東京五輪に向けますます多くの注目を浴びる。プレーはもちろん、立ち振る舞いも注視される。日本選手がスポーツマンシップにのっとり、堂々とした姿を示すことが世界基準となるよう、まずは試合前後のあいさつについて再認識してください」と記している。