貴親方、落選覚悟で出馬 一門の全11票…阿武松親方に10、自身に1を提案

 大相撲の貴乃花一門は30日、都内で一門会を開き、4日の臨時評議員会で理事を解任された貴乃花親方(45)=元横綱=が落選覚悟で理事候補選挙に立候補する方向であることが分かった。一門からは阿武松親方(56)=元関脇益荒雄=も立候補する方向。立候補の届け日は2月1日で、貴乃花親方を含め理事候補は定員10人を上回る11人となることが確実。2日に5期連続となる投票が行われる見通しとなった。また、無所属ながら貴乃花一門の会合に出席した錣山親方(54)=元関脇寺尾=が副理事候補選挙に立候補することも分かった。

 一門会を終えた貴乃花親方は、神楽坂の細い路地裏で50人近い報道陣に取り囲まれた。立候補するのか、それともしないのか。「いやあ、まだまだ」。そう言いながら晴れやかな笑みを浮かべた。

 その笑顔の裏には、前代未聞の出馬が隠されていた。貴乃花親方への票の振り分けは、わずか1票。阿武松親方に10票。落選覚悟の出馬だった。

 貴乃花一門の親方衆は8人。そこに無所属の親方3人を加えた11票が持ち票だ。理事選は10票が当確ラインのため、当選できる理事は、1人しか擁立することができない。

 4日の臨時評議員会で貴乃花親方が史上初めて理事を解任される事態に至った。それを受け、初場所中に2度、そしてこの日と、年が明けて3度開かれた会合では、今回に限り貴乃花親方の出馬を見送り、阿武松親方を擁立する方向で話し合いが進められた。

 それでも貴乃花親方の出馬への意志は揺らがなかった。すでに、立候補届け出用紙も手にしている。貴乃花親方も一門の気持ちをくみ、1人だけ出馬するのではなく、阿武松親方が出馬することに賛同。10票は阿武松親方に投票し、自分は自分の1票のみで立候補することを自ら提案したという。

 一門では当然ながら反対意見が出た。一門の総帥に、わずか1票で落選という恥をかかせるわけにはいかない。現在は役員待遇だが、慣例では立候補して落選すれば役員待遇を外され平の委員にさがる。周囲は出馬をとどまるよう説得した。

 貴乃花親方がそれを押し切ったのは、改革への意思表示であり、そのために無投票で理事が決まることを避けたかったのだと、関係者は言う。

 たった1票では当選は不可能。ただし、一門以外にも賛同して票を投じる親方が出てくる可能性も残っている。捨て身の立候補が一転、逆転当選の目はわずかに残っている。貴乃花親方の決断は新たな波紋となるかもしれない。

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