角界、暴力根絶待ったなし…林文科相の“物言い”に理事長が全力士聴取を約束

 「大相撲初場所・千秋楽」(28日、両国国技館)

 大相撲初場所が28日、東京都墨田区の両国国技館で千秋楽を迎え、昨年の元横綱日馬富士の暴行問題などに絡み、八角理事長(54)=元横綱北勝海=が林芳文文部科学相と面談した。席上、全力士の聴取を過去にさかのぼって行うことを約束。大臣からは徹底した再発防止を要請された。不祥事根絶へ角界は後がない崖っぷち。協会あいさつでもファンに向け頭を下げた理事長。ファンを再び裏切れば、もう謝罪では済まなくなる。

 林文科相は安倍首相の代理で優勝した栃ノ心に総理大臣杯を授与した後、八角理事長との会談内容について説明した。「相撲の価値はいろんな不祥事、社会的な過ちによって一気に損なわれかねない。改革、再発防止策をスピード感を持ってしっかり取り組んでいただきたいとお伝えいたしました」

 もはや改革は待ったなしだ。協会は昨年末、全力士にアンケート形式で聴取する報告書をまとめている。大臣によれば席上、協会側は「2月1日の理事会で再発防止策検討委員会を立ち上げ、今後、2度と暴力行為等の不祥事の起こらないように再発防止にしっかり取り組む」ことを固く約束したという。

 昨年10月に元横綱日馬富士の暴行事件が発覚し、角界は揺れに揺れた。元日馬富士は引責引退。酒席に同席した横綱白鵬、鶴竜も減給処分が下った。協会執行部と対立した被害者・貴ノ岩の師匠・貴乃花親方は2階級降格で理事を解任された。

 年明けには立行司、式守伊之助が泥酔し若い行司にキスするセクハラ行為。場所に入っても十両大砂嵐に無免許運転事故疑惑が持ち上がり、さらに理事を務める春日野広報部長(元関脇栃乃和歌)の部屋で過去の傷害事件まで発覚した。

 全力士への聴取は過去の件まで対象となる。大臣は「何年と区切ったわけではございません。調べられる限りのことは調べていただく。現役でなくても、過去のことも含まれる」と要請。うやむやにはしないか?と問われると「もちろんです」と断言した。

 異例とも言える大臣の強硬な“物言い”は最後の警告に近い。愚行の連鎖を食い止めなければ角界は持たない。

 理事長は千秋楽の協会あいさつで「大相撲ファンの皆さまには昨年末からご心配をおかけしており大変申し訳なくおわび申し上げます」と初日あいさつにはなかった謝罪を盛り込んだ。

 「粘り強くやっていく。人を育てる世界だから、一度の失敗であきらめるのは簡単だが、それはできない。血気盛んな子どもたちを預かるわけだから。それでだめだと首を切ったら終わり。それから(努力するの)が親方衆の力だから」。醜聞まみれでも15日間札止め。国技を愛するファンをもう裏切れない。

 15日間満員御礼となった初場所後も、日本相撲協会は慌ただしい日々が続く。2月1日には理事立候補が締め切られ、定数10人を超えた立候補があった場合は同2日に理事候補選挙が行われる。既に9人の立候補が固まっており、暴行問題に絡んで2階級降格処分を受けた貴乃花親方も、立候補する可能性がある。

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