稀勢の里 体も心も限界…5場所連続休場で進退問題必至 「胸が痛い」古傷故障再発

 「大相撲初場所・6日目」(19日、両国国技館)

 横綱稀勢の里(31)=田子ノ浦=が19日、日本相撲協会に「左大胸筋損傷疑い、左前胸部打撲」で「3週間の安静とする」との診断書を提出し、6日目から途中休場した。5日目の嘉風戦で4敗目を喫した際、古傷を悪化させた。左上腕部など度重なる故障から再起を期したが5場所連続、6度目休場となるドロ沼。次の出場場所で進退問題は避けられず、引退危機に陥った。白鵬に続く横綱離脱で1人横綱となった鶴竜は琴奨菊を寄り切り、初日から6連勝。関脇御嶽海、平幕の栃ノ心、朝乃山も全勝を守った。高安、豪栄道の両大関は2敗に後退した。

 体も心も限界だった。18日の朝稽古。稀勢の里は「やると決めたら最後までやり抜く」と自らを奮い立たせたが、最後の力も尽きた。前日、嘉風に土俵外に突き落とされ3連敗を喫し4敗目。部屋に戻った後、師匠・田子ノ浦親方(元幕内隆の鶴)に「ちょっと考える。胸が痛い」と珍しく弱音を吐いた。病院で検査を受け「左大胸筋損傷疑い、左前胸部打撲」と診断。深夜、師匠に電話し「出るのはちょっと厳しい」と休場の意向を伝えた。

 この日朝、師弟で話し合い、無念の最終決断を下した。親方が「出たかったと思うけど、違うところをケガしてもダメだし。本人が一番悔しいし歯がゆい」と思いを代弁した。

 昨年は左上腕部、腰部、左足首など次々と痛め4場所連続休場で終えた。昨年初優勝と横綱昇進を果たした初場所で再起を期したが、昨年3月に痛めた古傷の故障を再発。悪循環を繰り返した。

 横綱の5場所連続休場は7場所の貴乃花、6場所の武蔵丸らに次ぐ。貴乃花は休場明け3場所目、武蔵丸は休場明けの場所で引退している。横綱審議委員会(横審)は今場所前、まだ「猶予」があると静観していたが、またもリタイア。次の出場場所で進退問題は避けられない。

 年6場所制となった1958年以降、横綱在位は琴桜、三重ノ海、双羽黒の8場所が最短。現在6場所の稀勢の里はワースト記録更新の危機にも立たされている。

 春場所(3月11日初日、エディオンアリーナ大阪)での復帰を目指すが、まずは体を万全にすることを最優先。田子ノ浦親方は「ケガを治して体を鍛えて自信を付けてやりたい」と力を込めた。進退に関しては「まだ改善の余地はある。鍛えるところはたくさんある」と復活を信じた。

 山科審判部副部長(元小結大錦)は次は進退を問われるかと聞かれ、「内容がね。言われるでしょうね、多分」と厳しい見通しを示した。八角理事長(元横綱北勝海)は「今度出て来る時は自信を持っていけるってとこまで治さないとダメ」と厳命。もう失態は許されない。

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