内村航平 個人総合続行を宣言 「種目別で6つ金を獲るより価値がある」

 カナダ・モントリオールで行われた体操の世界選手権に出場した男子日本代表が10日、成田空港に帰国した。予選の跳馬で着地の際に左足を痛め、負傷棄権で個人総合7連覇を逃した内村航平(28)=リンガーハット=は、来季以降もオールラウンダーとして個人総合の舞台で戦うことを明言。個人総合銅メダル、種目別2冠と白井健三(21)=日体大=が新エースとして名乗りを上げた中、力強く復権を誓った。

 9年ぶりの“王座陥落”。それも誰に負けたわけでもなく、けがに負けた。そのことが内村の心に引っかかりを残していた。「最後まで演技をしたかった。結果のことよりも、そこが一番悔しい。どこにもぶつけられないモヤモヤがある」。足を引きずりながら、たどり着いた会見場。言葉には節々にやりきれなさを漂わせた。

 だからこそ、まだ終われない。けがの直後は「違う形で東京五輪までやってもいいかもしれない。でも、それは逃げじゃないかと思う部分もある」と今後もオールラウンダーとして戦っていくことに迷いも見せていたが、この日は「6種目やってこそ体操という気持ちは変わっていない」と、個人総合継続参戦を明言。「たぶん健三(白井)も種目別2つの世界王者になって感じていると思うけど、個人総合1つの金メダルの方が存在が大きく感じる。それぐらい個人総合は体操選手にとって憧れ。種目別で6種目金メダルを獲っても、個人総合1つの金メダルの方が価値がある」と、自身が高めてきたオールラウンダーの価値を力説した。

 今後はまずけがの治療を優先し、目標となるのは来年4月の日本選手権。白井という新エースとの激突になるが、内村は言った。「もう一度体操を極めたい。前よりももっと強くなって戻ってきたい」-。“絶対王者”の紡ぐ伝説は、まだ終わっていない。

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