【専門家の見解】宇良の右膝前十字靱帯断裂…プロアスリートなら手術以外の選択肢ない

 右膝の負傷で大相撲秋場所3日目から休場した人気業師の幕内宇良(25)の師匠、木瀬親方(元幕内肥後ノ海)は28日、宇良が右膝を手術する可能性があることを明かした。途中休場した際は右膝前十字靱帯の損傷と発表されていたが、断裂していたことが判明した。

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 【松本クリニック・松本浩彦院長の見解】

 前十字靭帯は膝関節の中で大腿骨と脛骨をつなぐ強力な靭帯で、損傷すると膝関節は前後方向と回旋(内外へ回す)方向の二つで弛(ゆる)んでしまいます。前十字靭帯断裂は一般人でも非常に多くみられ、切れた靱帯が自然に引っつくことはありません。すなわち再起を目指すプロアスリートであれば、手術以外の選択肢はないと言っても過言ではないのです。

 手術は主に膝屈筋腱(ハムストリングス)を用いた自分の組織を用いて再建する自家腱移植が行われます。関節鏡で手術できるので、傷も小さく、術後の成績も非常に良好です。最近では手術の翌日から松葉づえを使った歩行訓練を開始するほどです。入院が一週間、その後のリハビリは大変ですが、半年から9カ月で復帰できます。

 ただ、相撲、ラグビー、柔道など、重量級のアスリートが前十字靭帯を断裂しますと膝屈筋腱では細くて心もとないので、膝蓋(しつがい)骨と脛骨の間にある膝蓋腱を3分の1ほど骨付きで採取し、移植腱として使用することが多いようです。

 前十字靭帯を断裂しても手術で復帰したトップアスリートは数多くいます。侍ジャパンの監督を務めた小久保裕紀氏。柔道で五輪3連覇の野村忠宏氏。大相撲の元小結高見盛の振分親方も現役時代に右前十字靭帯を断裂していますが、その後みごとに復帰しています。

 宇良関も25歳とまだ若いですから、決して焦らず一年先をめどにリハビリに取り組めば、必ず再起できるでしょう。

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