朝乃山103年ぶり新入幕Vへ奇跡起こす 大混戦…残り2日でV圏内16人!?

 「大相撲秋場所・13日目」(22日、両国国技館)

 荒れる秋場所が13日目を終え、さらに混迷を深めた。トップの大関豪栄道が連敗で3敗目を喫し、2差の5敗まで実に16人が優勝の可能性を残す前代未聞の展開となった。そんな中、新入幕朝乃山が大栄翔を浴びせ倒して、横綱日馬富士とともに4敗を死守。1914年夏場所の両国以来、103年ぶり2人目となる新入幕優勝の可能性が出てきた。

 99年ぶり3横綱・2大関が休場した異常事態場所で、何が起きても不思議はない。混迷を深める秋。朝乃山に103年ぶり新入幕優勝、富山出身では1916年夏場所の横綱太刀山以来、101年ぶり優勝という歴史的快挙の可能性が出てきた。

 4敗同士で迎えた大栄翔戦は完勝だった。押し相撲の相手に押し勝って追い込むと、右差し左上手の得意型でガッチリ組み止めた。こらえて粘られたが188センチ、165キロの巨体で浴びせ倒した。

 「稽古通りに突っ張った。前に出ながら自分の形を作れた」と、納得の一番となった。

 今年3月の春場所で本名の石橋から改名。自ら考えた「朝乃山英樹」には富山愛を盛り込んだ。県人誇りのアルプス「立山連峰」から愛称は「富山の人間山脈」。もちろん太刀山にもあやかった。

 一番込めたのは富山商高相撲部時代の恩師で今年1月21日に40歳で急逝した浦山英樹先生への思い。初場所で幕下優勝を決め、新十両昇進を見届けるように天国へ発(た)った。

 葬儀に駆け付けた時、「スターになれ」との遺言があった。本名は石橋広暉ながら名前まで先生から拝借し「英樹」に変更。横綱を目指すことを誓った。

 11日目にデビュー以来10場所連続勝ち越しを決め、さらに堂々優勝争いを演じる。「土俵の上で先生が見守ってくれている」と存在を今も感じる。この好機こそ、天国からの後押しのようだ。

 嵐が吹き荒れた13日目。4敗力士が次々と敗れ、豪栄道までのまれて連敗。トップ3敗から5敗までに計16人。13日目を終えての混戦は最近では98年夏場所で2差に9人がいた例がある程度で、幕内36人中16人に優勝の可能性があるなど前代未聞だ。

 優勝、2桁勝利、三賞を問われると朝乃山は「ないです」を3連発したが、勢いは十分。審判部の藤島副部長(元大関武双山)は「大したもの。一番無欲だからね。新入幕で優勝なら大変でしょうけどないわけじゃない」と奇跡を予感していた。

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