ボルト棄権で涙の終焉 桐生も複雑「走り切れていたら、日本は4番かも…それでも」

 「陸上・世界選手権」(12日、ロンドン競技場)

 男子400メートルリレー決勝が行われ、日本は38秒04で銅メダルに輝いた。5連覇を狙ったジャマイカは、今大会限りで現役を退く最終走者のウサイン・ボルト(30)が脚を痛めて倒れ、ゴールできなかった。

 誰も予想し得なかった結末だった。最高のフィナーレを待ち望んでいた6万5000人の大歓声が、悲鳴に変わる。英国、米国に次ぐ3番手でバトンを受けたボルト。誰もが鮮やかな逆転での有終Vを思い描いたはずだ。しかし、30メートルほど走ったところで、左脚を痛め、苦悶(くもん)の表情でトラックに転がった。立ち上がり、足を引きずりながらゴールまでたどり着こうとしたが、残り20メートル地点で再び崩れ落ちた。世界を驚かし続けてきた男のラストレースは、棄権という形で終わりを迎えた。

 予期しなかった英雄の最終章に、レース後も会場全体が動揺を隠しきれなかった。銅メダルを獲得した日本の桐生も、ボルトのことに話が及ぶと、言葉に詰まった。「なんて言っていいか分からない。走り切れていたら、日本は4番かもしれない。それでも走って欲しかった…」。

 ずっと憧れだった。10秒01を出して、一気に注目を浴びた高校3年生の時。伸び悩んだ時に、ボルトに掛けられた言葉に救われた。「自分のために走れ。それが日本のためになる」-。「僕にとっては何があっても、ボルトさんが憧れ。それは変わらない」と言葉を絞り出した。

 ボルトはレース後、自身のSNSを更新し、ファンにこうメッセージをつづった。「ありがとう。みんなに無限の愛を」-。棄権が決まった後、ボルトは仲間に支えられ、大歓声に包まれながら、歩いてゴールまでたどり着いた。誰からも愛された“人類最速の男”は、人生で最も時間のかかった100メートルを終えて、伝説に終止符を打った。

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