照強 被災地を勇気づけたい 震災から22年…1・17に生まれた“運命の子”

琴恵光(右)に攻められるが土俵際で粘る照強
2枚

 「大相撲初場所・10日目」(17日、両国国技館)

 阪神・淡路大震災から22年、“運命の子”が初めて関取として土俵に上がった。1995年1月17日、震源地に近い淡路島で生を受けた新十両の照強(22)=伊勢ケ浜。琴恵光(25)=佐渡ケ嶽=に寄り倒しで敗れ、誕生日星は逃したが、気迫あふれる相撲を故郷へ届けた。しこ名通り、被災地を照らす、さらに強い力士になることを改めて心に誓った。

 故郷を背負い、照強は攻め続けた。低く当たって左を差し、琴恵光を追い立てた。素早く動いていなして相手を崩す。左上手を取ったが、これで形勢が変わった。右を差されて体を密着され、最後は寄り倒された。

 「あっさり終わったわけじゃない。自分から攻めたし、内容は悪くない。盛り上がった」。悔しさはあるが、特別な土俵で存分に力は出し切った。

 「毎日取組があるから。(故郷に)見てもらえる」。東十両13枚目。毎日相撲が取れる関取になり、震災の日を迎えるという夢をかなえた。22年前の1・17も初場所10日目だった。まさに運命の日。その一歩を踏み出せた。

 「生まれ」を強く意識したのは小学生の時。遠足で阪神・淡路大震災の震源地に近い淡路市内の野島断層を見た。家に帰り「すごい大きかった。すごい地震。そんな時に僕は生まれたん?」と母・菊井真樹さん(43)に問い続けた。

 この日の朝稽古では毎年と同じように神棚に手を合わせ、黙とうした。6434人が亡くなった日。「亡くなる命と新たなる命がある」。受けた生の重さは誰よりも思ってきた。

 「強くなって被災地を照らす力士になるように」との願いを込め、師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)からしこ名をもらった。2011年3月11日、東日本大震災は東京でも大きく揺れた。「震度7って想像もつかない。東北の津波を見た時、地震ってこんなすごいんだと」。自身の相撲で被災地を勇気付けたい気持ちが、より一層強くなった。

 「土俵に上がって盛り上げること。いい相撲を取って伝えること。自分にはそれしかない。ちょっとでも笑顔になって欲しい」。

 過去3戦3勝だった誕生日に初黒星を喫した。星は5勝5敗の五分から再スタート。「今まで勝ってきたのも運命だと思う。今年は負けたけど、来年は幕内くらいに上がっていたい」。もっと強くもっと照らす-。関取最小兵168センチの体に希望はみなぎっている。

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