琴奨菊 親友豊ノ島に敗れ13連勝ならず

 「大相撲初場所・13日目」(22日、両国国技館)

 大関琴奨菊が平幕の豊ノ島にとったりで敗れ、初黒星を喫した。06年初場所の栃東(現玉ノ井親方)以来、10年ぶりとなる日本出身力士の優勝へ3横綱を連破しながら、小学生時代からの親友にまさかの不覚。白鵬は鶴竜との横綱対決を送り出しで制し、1敗で並んだ。横綱日馬富士は、取り直しの一番で大関稀勢の里を寄り切り、豊ノ島とともに2敗で追う混戦となった。

 顔をしかめ、支度部屋に戻った琴奨菊は「ああ、くそーっ!!」と、嘆きを3連発。風呂場でも「あーっ!!」、「あーっ!!、あーっ!!」と、絶叫を繰り返した。

 10日目から3横綱を連破し、単独トップを走っていた大関が止まった。立ち合い、いつも通り力強く当たった。鋭い出足で一気に押したが、落とし穴が待っていた。左に体を開いた豊ノ島に右腕を取られると、そのまま土俵にバッタリ。館内にため息と悲鳴が響いた。

 「踏み込みは悪くなかったし、立ち合い、少し離れ過ぎたかな。先に体勢が崩れた。自分のやったことだから仕方がない。負けは負け」。風呂場から上がると冷静に振り返ったが、悔しさはにじみ出た。

 不覚を取った豊ノ島とは、小学生のわんぱく相撲から互いに知る同期生だ。福岡から高知の明徳義塾中に進み、高知県出身の豊ノ島とともに高知県選抜チームで日本一になった。02年初場所でともに初土俵を踏み「一緒に関取に」と誓い合ってきた親友だった。

 出会いから20年以上がたち、ともに30歳を超えた2人が優勝争いをするのも運命。朝稽古では「楽しんだ者勝ち」と平静だったが、追われる立場はやはり力が入った。

 「一番の立ち合いをしようと執着し過ぎた。少し気持ちが入り過ぎたかな。冷静に余裕を持たないと」

 痛い1敗だが、白鵬と並んで首位にいる。勝負は残り2日だ。この日、祝賀会用の鯛が到着し、部屋の冷蔵室に保管された。さらに、地元福岡県柳川市からは商工会議所の幹部8人が応援に駆け付け「優勝なら帰ってパレードをやる!!」と、優勝ムードに入った。

 14日目は、過去13勝17敗と苦手にしている関脇栃煌山が相手だが「しっかり気持ちを切り替える」と言い切った。日本出身力士“10年分のV圧”を打ち破ってこそ、大輪の菊は咲く。

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