羽生、後半4回転ミスも首位発進

 「フィギュアスケート・オータム・クラシック」(14日、カナダ・バリー)

 フィギュアスケート男子ソチ五輪金メダリストの羽生結弦(20)=ANA=が、今季初戦のショートプログラム(SP)に挑み、93・14点で地元の2位ナム・ニュエン(カナダ)に6・61点差をつけ、首位に立った。後半に組み込んだ4回転トーループの着氷が乱れたものの、貫禄の演技を見せつけた。女子SPは今井遥(22)=新潟県連盟=が、58・17点で3位につけた。

 求めるレベルが高いからこそ、笑顔は控えめだった。SPは昨季と同じショパンの「バラード第1番」。ただ、今季から基礎点1・1倍となる後半に4回転トーループを組み込み、さらに難度を上げた構成に挑んだ。そのSPの見せ場といえる後半の4回転で着氷を乱し、回転不足の判定。「4回転は悔しい思いが強い。このプログラムはまだノーミスでやれてないな、とあらためて思った」と、唇をかみしめた。

 疲れの出る演技後半に4回転と2連続3回転ジャンプを組み込む意欲的な構成は、リスクもはらむ。ただ、進化にどん欲な20歳の五輪王者は、真正面から立ち向かっていくつもりだ。「後半の4回転は大変という固定概念に縛られている」と技術的なものよりも凝り固まった思考を課題に挙げ、「1回(4回転を)降りてしまえば怖さはなくなる。どんどん挑戦していきたい」と、習得に強い意欲をにじませた。

 衝突事故やけがなどの不運に悩まされた昨季からの巻き返しを誓う今シーズン。15日(日本時間16日)のフリーでは、陰陽師、安倍晴明を演じる「SEIMEI」の完全版を初披露する。「ここまで和のプログラムを演じられるのは、今の日本男子で僕だけ」と言い切る自信作で、船出を華々しく飾る。

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