羽生フリーも1位 激動のシーズンに幕

 「フィギュアスケート・世界国別対抗戦」(17日、代々木第一体育館)

 日本は羽生結弦(20)=ANA=が前日の男子ショートプログラム(SP)に続き、フリーでも192・31点で首位となるなど順位点によるチーム得点を79点とし、2位を守った。首位は83点の米国。男子フリーの無良崇人(24)=HIROTA=は165・40点の3位だった。最終日の18日は女子フリーなどが行われる。

 フィニッシュと共に思わずつぶやいた。「ありがとう」-。「悔しい」と言い続けてきた“氷上のプリンス”は、静かに瞳を閉じて大歓声に浸った。

 課題としてきた冒頭の4回転サルコーを完璧に着氷。しかし前日決めた4回転トーループは3回転になった。「“たら・れば”はない。今の実力」。言い聞かせるように振り返り、「これが世界選手権や四大陸であれば、悔しい思いしか残らないのかな」と首をかしげた。それでも今季最後の演技を「うれしさ半分、悔しさ半分」と表現したのは、「サルコーはしっかり決められた」と成長を実感できたから。シーズンを戦い抜いた達成感にも満たされていた。

 激動のシーズンが幕を閉じた。11月の中国杯では衝突事故で流血、昨年末に腹部を手術し、1月には右足首を負傷した。万全の状態ではない中、ファイティングポーズを取り続けた羽生。「いかに健康な、万全な状態で試合に臨めるか。そうではない中でも、いかにベターな状態に持っていけるか」。リンクにいたからこそ、新たな壁も見えた。

 2位と15点以上差をつけながら「最低でもこのくらいの演技ができるようにしていかないと」。感慨よりも、自身への厳しい言葉が口を突く。「世界選手権王者を取られてしまったことには変わりない。大切な試合を取りこぼしてしまった」。“世界のユヅル”は勝利に貪欲だ。五輪王者のプライドに掛けて、来季も羽生は舞う。

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