羽生日本V導く「僕が一番期待される」

 「フィギュアスケート・世界国別対抗戦」(16日開幕、代々木第一体育館)

 前日会見と公式練習が15日、試合会場で行われ、2年ぶり2度目の優勝を狙う日本のエース羽生結弦(20)=ANA=は2種類の4回転ジャンプを高確率で決めるなど好調ぶりをアピール。パトリック・チャン(24)=カナダ=の持つ世界歴代最高点295・27点の更新を視野に入れた。今季はアクシデント続きだったが、シーズン最後の大会で有終の美を飾る。

 自らに与えられた役割は、十二分に理解している。初参戦の国別対抗戦。公式会見で、羽生はエースとしての自覚をたぎらせた。

 「一番このチームを引っ張らないといけない立場。実績から僕が一番期待される」と自らが置かれた立場を堂々と口にし、「普段のシングルスとは違う。むしろ今回の方が結果を求められる。だからこそ、自分のパーソナルベストを。絶対勝てるパフォーマンスをしないといけない」と強い決意を示した。

 羽生の総合得点の最高は13年GPファイナルの293・25点で、パトリック・チャンの持つ世界最高得点とは約2点差。自己ベスト更新は、すなわち世界記録の更新、そして国際連盟公認大会では史上初の300点超えも視野に入ってくる。

 2週間前の悔しさが、気持ちをかき立てる。昨年末の尿膜管遺残症による腹部手術、1月の右足首ねんざとアクシデントが続き、万全ではない状態で挑んだ3月の世界選手権では連覇を逃し、無念の2位。五輪、世界選手権、GPファイナルの3大大会での連勝は4で止まり、久々に王座を明け渡した。

 体調を考えれば、今大会は欠場という選択肢もあった。人生で初めてメスを入れた腹部にはいまだ炎症が残っており、右足首もまだ万全とはいえない。それでも悔しさを引きずったまま、今季を終われない。

 練習では2種類の4回転ジャンプを高確率で決め、調子の良さをアピール。“氷上のカリスマ”は、波瀾(はらん)万丈のシーズンを華麗に締めくくる。

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